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Saltburnのakiriのネタバレレビュー・内容・結末

Saltburn(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

解釈の誘導。
相手が欲しい言葉をそこに置く。
天才的な脚本家。
怒涛のラスト30分。

リアルのまま共存できればどれだけ素敵で、美しいことなのか、別の人間である以上、無数のシュチュエーションがあって、あらゆる機会において、その感情や行動は異なる。どれだけ理解し合っていても、それが相互に完全なリアルであるということはないと思う。ここでは、極論的に完全に役を演じることで理想的なルートを作り上げた。
2人の間で描かれるドラマのように思っていても、別の登場人物が世界にはたくさんいて、それらがそのルートを疎ましく思ったなら、当然のように人間の醜さから悪意が向けられる。
理想的なルートを辿るためには相互、もしくは、少なくとも片方が理想像に寄せに行かなくてはならない。これは少なからず、現実世界でも当たり前のように行われているし、これを否定したい訳でもない。限りなく類似的な人間がいたとしても、人間関係の中で相手に無意識的に求めてしまう人間像があり、そことリアルとにできる乖離が大きいほど、演技の範囲は広がる。
だからこそ、完全に理解し合える人間は存在しないことを知っておく必要がある。
ここで問題になるのは、ビジネスや付き合い、損得勘定などで、打算的に発生する演技が世の中には溢れすぎている。本物と思いたい相手に対しては、できる限りリアルでいるべきで、お互いの違いを認識した上で共存していくことがなにより求められると思う。

と、ここまでは、ラスト30分を観るまでの感想であり、全くこの作品の本質をつけていなかったのかもしれないと気づいた。正面から観たベタな視点で感じたことを書いてはみたけど、答え合わせ的にどんでん返しをされた気分になり、最後まで彼の望むものは想像しきれなかった。
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