ジョージ

Saltburnのジョージのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
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オックスフォードに入学し良い成績を残そうと浮いた生活をせず友達にも恵まれない中試験や勉強に励もうとする勤勉な学生、オリーはいつでも人に囲まれ貴族の血をひくフィニックスと出会う。彼の人柄に惹かれるオリー。二人は友達として親交を深め、夏の長期休暇前に自分の家庭環境が嫌で帰りたくないと話すオリーをフィニックスは自分の実家である屋敷へ連れ帰る。
母と父、フィニックスの姉と従兄弟のバリー。華美で雅な生活の中見つけた綻びを掴んで解こうとするオリーだが、逆に自分の立場を危うくしてしまう。フィニックスの良心が元でオリーの嘘がバレた時、そこから一族の悲劇が始まることとなる。


そんな話。
めっちゃサイコで狂ってたよ!と聞いて観たけど、アメリカンサイコや聖なる鹿殺しを思い出したあたり通じるものがあるなぁと。あと半地下家族。
イギリスの階級格差による劣等感、自身のコミ障から周りより下に見られ孤独を感じる青年が、何でも持ってて恵まれ人に好かれる存在であるフィニックスに恋をする話かと思えばとんでもなかった。

風呂場のシーンではただの性欲かと思ったけど墓場のシーン、あれは性欲というよりマウントだったのかもしれない。好きだけど憎い、は、何でも持っていて羨ましいのに自覚がないこと、好ましいのに自分を拒否することなのかも。
好きで羨ましいから最初はバリーの位置に収まろうとし、次はフィニックス、その次は全てを手に入れようと心が変わっていったのかな、と思ったけど最後のダンスする人形と石。全ては最初からオリーの描いた脚本で喜劇だったのでは。フィニックスへの「演じたけど下手だった。」も、伏線なのかなと思った。
可哀想と思わせ同情を誘い、そこに漬け込む。オリーの手腕は最終的には素晴らしい。全て上手くいってる。上手くやったな!という一言に尽きる。
ラストのダンスは笑ってしまうが、アレは結局全てを手に入れた、誰にも咎められることが無い、勝った、ということを表現してるのだろうか。それでもオリー以外には誰もいないのは、外見は立派だとしても中身は空っぽ、といってるようで皮肉だなと受け取った。
ジョージ

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