みや

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のみやのレビュー・感想・評価

4.5
面白かった!
原作未読。予告編を観て視聴を決めた作品だったが、当たりだった。

とにかく「幾田りら」と「あの」の声がキャラクターとバッチリ合っていて、世界観に引き込まれたことが大きい。

彼女たちを含めた5人組の、ワチャワチャなやりとりと際どいセリフが、あの声を通すことによって、妙に説得力というかリアリティが増した思いがした。
まるで、自分も一緒にその場にいるかのように心躍らせながら、時にはププッと吹き出したり、ホロリとさせられたりするくらい、彼女たちは生き生きとそこに存在していた。すごい。

母艦の存在は、3.11をベースにしているのだろうけれど、映画で描かれるそれへの人々のズレた対応の仕方や関わり方は、それだけに留まらず、現在も地球上で起きている戦争(ガザ侵攻やウクライナ侵攻)や、温暖化などの環境問題、コロナ禍などのメタファーとも見ることができる。

非日常の危機がすぐそばにあるのに、そこから目を逸らして日常を送り続ける居心地の悪さ。人の持つ善性と個の正義感の芽生え。やがて肥大化した正義感とそれによって生じる加害性の問題など、映画の世界観の中で起きていることが、自然と現実世界で個人個人が体験していることとリンクしてくる。

明らかにドラえもんのパロディという劇中内漫画「イソベやん」の存在も、観客を揺さぶってくる。しかも、クオリティが高く、かなり笑える。

前章を観ただけでは、マルチバースの可能性が暗示されただけで、はっきりしていないところも多いが、門出とおんたんの2人がどのように関わりながらこの混沌とした世界と向き合っていくのか、自分としては、後章に向けてとても期待が高まった。

公開当日のレイトショーには、10代20代と思しき若者が目立ったが、アラカンの50代にもキチンと刺さる作品。
一晩経って寝て起きても、頭の中で、「デデデデデストラクショ〜ン」というテーマ曲のフレーズが鳴り響いている。

視聴を迷っている方、自信を持ってお勧めします。
みや

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