ShinMakita

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のShinMakitaのレビュー・感想・評価

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☆俺基準スコア:2.6
☆Filmarks基準スコア:3.7




8月31日…東京湾上空に巨大宇宙母艦が突如出現した。「侵略者」の出現に慌てふためく日本政府を尻目に、在日米軍が特殊爆弾で攻撃を開始。その巻き添えを喰らい、都心部で多数の死傷者が発生する。
3年後…都内下蛸井戸高校の小山門出、中川凰蘭ら仲良し五人組は、卒業を控えいつも通りの日常を送っていた。母艦は相変わらず空の上に鎮座し、時折そこから小型船が地上近くに降りてくるが、電線に引っかかったり自衛隊のレーザーを食らったりして墜落を続けている。特殊爆弾の影響で都内が汚染されているというネット情報も拡散されてるし、小型船墜落の被害で亡くなる人もいるしで、死や終末がごく身近に感じる毎日なのだが…



「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」


以下、「ネタバレやん」の内緒道具。


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例によってアニメ・マンガ弱者なので原作は未読。しかし試し読みしてみると、言葉遣いやワードなど、まさに「おんたん」はあのちゃんに当て書きされたかのようにハマっていて驚いた。あのちゃんのラジオを聴いてる人間には、もうそれだけで及第。

世界の終末プラス日常系、という世界観は一見新しいようで実は古典的。俺はグレゴリー・ペックの「渚にて」を連想しました。円盤飛来モノという点からは〈何しに来たのかわからない系〉とでも言おうか、「地球の静止する日」に近いものを感じたけど、彼奴等の目的は後編を見るまでは判らないんだろう、多分。
宇宙人を勝手に侵略者呼ばわりして、アメリカに勝手に爆弾使わせて、情報を勝手に操作して自衛隊に殺戮を繰り返させている日本政府がもはや「詰んでいる」気がするし、ネットに踊らされて人々が分断していくサマを見ても社会がもはや「終わっている」気がしてならない。そんな中で健気に生きる門出たちの姿にはちょっと涙腺を刺激されたなぁ。門出の母はまるで宗教にのめり込む毒親、兄弟が多い亜衣ちゃんの家は被災者用住宅を連想させ、現実社会のリアルな部分も入れてくるのもナイス。というわけで、古典リスペクトや風刺、メタファーがさりげなくも高濃度のため、俺のなかではSF映画として完璧だと言って差し支えないかと。後編の内容が如何ようでも、この前編だけで高評価できる一本。オススメ。
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