ワンコ

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のワンコのレビュー・感想・評価

5.0
【SFともだち青春ファンタジック・グラフィティー+恋愛もね】

いそべやんはドラえもんへのオマージュだとして、僕は、小比類巻は鬼太郎への、そして、”ともだち”は「20世紀少年」へのオマージュだと思っている。あと、あの人差し指もね。

それにストーリー展開は、どこか「20世紀少年」に通じるものがあるような気もする。

前章を観終わった時、映画のために原作を少し再構築してるなと思ってはいたけれども、ばら撒かれた伏線をベースに、この壮大とも言えるSFともだち青春ファンタジック・グラフィティーを前・後章で終わらせることが一体出来るのか心配だった。

映画後章の最後の締めくくりは原作漫画とは異なるけれども、漫画を読んでいて、この映画のストーリーのような終わり方もあるよなあなんてふと考えたこともあったので、個人的に僕は良い意味で納得出来る終わり方になっているなと思っている。

もし、原作を知らなくて、映画を観て興味が沸いた方は読んで欲しいと思う。

(以下ネタバレ)

このアニメの原作「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(以下、「デデデデ」)」は、日本でまだ東日本大震災からの復興など進まず、特に原発事故後の放射能への恐怖が残るなか被災地の人への差別的な扱いがあったり、震災の混乱に乗じるように安保法の導入に安倍政権が強硬姿勢を鮮明にし、学生グループのSEALDsや識者グループが反対姿勢を強めるなか連載が開始された作品だ。

それに「デデデデ」は陰謀論や、昔の過激派学生運動を彷彿とさせる連中、そして新興宗教的なフレーバーも加えて、年齢に関係なく”何事においても思考停止中の人たち”を嘲笑うかのようなストーリー展開になっている。

そして、イジメ、やり場のない怒り、差別、ノンバイナリーなども重要な要素だ。

原作は、また元から始めよう。
映画は、ここから始めるしかない。

簡単に言うとそんな感じだろうか。

あなたは気が付いてますか?
パラレルワールドで力を安易に使ってしまう門出と、無抵抗の侵略者を撃ち殺し、歩仁と直仁を安易にぶっ放す軍や政府の本質は同じだと。
そして、もたらす結果は甚大だと。

僕たちは一体何度やり直すことが出来るだろうか。

「デデデデ」は実はとても考えさせられる作品だ。


※と、ここからは追記。

エンディングにこれほど好き嫌いがあるのかあと、僕は両方ありだなと思っていたので、やれやれだ。

原作の終わりは、今の僕たちの日本の社会のことだ。いろんな偶然に偶然が重なり、こうした社会になっているに過ぎないのだと、浅野いにおさんは言いたいのだ。もう少し言えば、そんな場所に僕たちは生を受けたのだと。ガザや、シリアや、イエメン、ミャンマーや、アフリカの飢餓に苦しんでいる国々、訳のわからないリーダーや国家主義者みたいなバカに翻弄されたり、きっと考えることはあるだろうと。A線や相次ぐ武器製造は、こうしたことを考えさせるための伏線だったと思う。

一方、アニメ映画は、一旦事が起こったら、引き返せないぞと、ここはぼくの余計な想像もあるけれど、気候災害だってもとは人間のせいだとしたら、やっぱり、ここから考えて様々な事を再構築して、こんなことが起きないようにしようと考えるのは当たり前なのだと。大体、ミサイルを迎撃とかじゃなく敵地を攻撃する武器を作りたくなる連中って、温暖化に目配せしているようなやつじゃないことはほぼ確実な気がするし。

やっぱり思考停止は良くないのだ。
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