エニグマ

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のエニグマのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

前章、意味ありげに登場した大葉がメインキャラクターとなりいよいよ地球滅亡へのカウントダウンが始まる。
前作が門出の話なら今回は凰蘭の話。見終わった直後はここで終わるか…という消化不良な気持ちになったが、気になった点含め色々反芻したらいい終わり方の気もしてきた。
最初気になったのは主役2人が後半では傍観者でしか無かったこと。前の世界線での失敗を踏まえるなら道具を正しく使い、ピンチの大葉くんの元に参戦!の方が面白かったと思う(というか自分の好み)。ただ、本作はそうならなかったので無理矢理自分を納得させる解釈を考えてみた。
本作が厳密にセカイ系なのかはよく分からないが、一般的なセカイ系で言うところの「世界をかけた選択」は前章や今作の中盤で話された世界線で既になされ、後章は門出を救った代わりに崩壊していく世界をただ眺める話なのだ。そのため構造上、門出と凰蘭は崩れゆく世界の中で役割はなく(既に役割を終え)、代わりに世界を救う役割を担うのが大葉くんなのだろう。そして門出と凰蘭はお互いの「絶対」であるというあの会話によって彼女達の物語はハッピーエンドで幕を閉じたのだと考えられる。そしたらもうあとは終末描写を楽しむだけ。
門出と凰蘭が絆を誓い合ってる一方、世界は大葉くんの奮闘虚しく大災害に見舞われる。あの中二病の弟の手が爆発するシーンは驚いた。今までほのぼのと描かれてきた日常のピースが崩れ始める感覚。そして母艦の爆発により、主人公達の周りの人物は次々と塵になっていく。そこででんぱ組.incの「あした地球がこなごなになっても」が流れる。ポップで可愛い音楽と対照的にいとも簡単に崩れ去る世界のギャップが凄まじい、衝撃的で最高なシーンだった。視覚と聴覚で全く逆の感情を得るのは面白い。最後まで良い奴だったお兄ちゃんまで死んだのがめちゃくちゃショック…
原作から映画に至るまで元首相暗殺や万博開催など色々な出来事があったせいで更にリアリティを帯び色んな社会的意味を含んだ映画になっていた。話の情報量だけでなく書き込みがすごいため画的な情報量が多く、見ていて飽きない。
可愛くデフォルメされたような宇宙人の中には実は人間のようなリアルな顔があるのも面白い。
エンドロールの曲終わり、門出と凰蘭ではなく幾田りらとあのちゃんの笑い声が聞こえるのは(元々曲に含まれてるのは知ってるけど)現実に戻される余計な演出だと思った。

話の消化不良感はあれど全体的な設定と作画、ギャグ、曲の使い方等好きな点の方が多く楽しめた。多分これは後から面白さがジワジワと出てくる作品。
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