たく

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のたくのレビュー・感想・評価

4.0
前章の最後で示された人類滅亡のカウントダウンからのその後がどう描かれるのか、ワクワクしながら公開を待ってた後章。門出と凰蘭のパラレルワールド的世界の真相や、侵略者の目的など前作の謎が明らかになるのがすっきりした反面、ちょっとモヤモヤも残った。PG12指定ということで残酷描写が半端なかったね。市民を見捨てる政府に対比される反政府運動のお花畑感、アナーキズムに走る過激派団体など世の中に蠢く思惑を経て、ボーイミーツガールという普遍的な青春モノに落とし込む筋書きが見事過ぎた。幾田りらの相変わらずの自然体と、前作よりさらに役に馴染んだ感のあるあのちゃんの演技が優勝。

前章の最後で上京してきたふたばとマコトが、大学に進学した門出や凰蘭たちと仲良くなる序盤に始まり、彼らのオカルト部への入部や門出と元担任との淡い恋など相変わらずユルい日常が描かれる。その一方で、自衛隊による侵略者の無慈悲な駆除と、小比類巻が率いる過激派団体による侵略者狩りが進行してて、人間の身体に意識を移植して生活してる侵略者の大葉がこの二つの対照的な世界を繋げていくキーマンとなる展開。

侵略者の母艦が持つ巨大なエネルギーを新たな資源として活用するための政府プロジェクトが密かに進行してて、母艦の爆発を予想して「方舟」と呼ぶ設備で一部の人間だけ助かろうとするのがキューブリックの「博士の異常な愛情」を連想させる。前章で予想した通り、門出を救いたい凰蘭が現在の世界にシフトしてくるのは「まどかマギカ」のほむらとまどかを思わせる変則ループで、世界を犠牲にしてでも門出を救う(=「絶対」の存在)というセカイ系になってた。ただ、凰蘭が現在の世界にシフトしたことで、元の世界にいた凰蘭の意識はどうなったのかというのが腑に落ちずモヤモヤが残った。

侵略者たちも、結局はより上位の存在の捨て駒に過ぎないというのが虚しい。共に見捨てられた侵略者と人類(というか日本人)に未来がないかに思えたところで、侵略者と人間との境界が曖昧となった大葉が自己犠牲を果たそうとするところは「シン・ウルトラマン」みたい。前章から気になってた母艦から発せられるひらがなを象った謎の波動が、母艦の爆発を止めるための四文字のキーワードに繋がってるのかと思うとジーンと来る。つまり互いに言葉を理解しない関係にあって、侵略者側がその四文字を理解することで初めて歩み寄れるかもしれない可能性を込めてたってことだよね。

ついに訪れるカタストロフィで十字の光が立ち上ぼるのがエヴァそのまんま。救いようのない悲劇的な映像から、まさかのほのぼのするラストへの着地が荒技で、どんな悲惨な状況も飲み込んでしまう日本人の無常感が刻印されてるように思った。
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