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恋するプリテンダーのtwitwilightsのレビュー・感想・評価

恋するプリテンダー(2023年製作の映画)
4.0
もう何度か邦題として使用されているとは思うが、「恋のから騒ぎ」というタイトルを今こそ本作に。

BENEDICK → ベン
BEATRICE → ビー

登場人物の名前を筆頭に、本作の全体を通したモティーフは、ウィリアム・シェイクスピアの「空騒ぎ」だ。戯曲内のセリフなどを、まるで舞台の垂れ幕のように看板などに引用する演出。鼻につく一歩手前の小洒落た感を終始保っているのも見事だった。

テロップを限りなく使わないテキスト表示。たとえば、"6ヶ月後"という店名のバーなど(笑)。

オーストラリア・ロケは、『ピーター・ラビット』の監督、ウィル・グラックだからこそなのか。リゾートものとしても、十二分に輝きを放っている。映画的オマージュも、グレン・パウエルのマーヴェリック・ネタや、例のクルーザー・ネタなど、こちらも良い湯加減で笑かされてしまった。

楽曲選びも新旧絶妙(Wet Leg!)で、鑑賞後すぐにSpotifyでプレイリストに飛びついてしまった。
いまなぜナターシャ・ベディングフィールドなのか?
「安心ソング」"Unwritten" に今更泣かされるとは(笑)。
楽曲以外でも、とにかく小道具の伏線配置が秀逸だった。

キー・ヴィジュアルの超王道ロマコメルックを、横目でスルーしていた自分に気づく。近年のロマコメジャンル衰退の一因に、間違いなく関与している嗜好感情のひとつだろう。本作はそんなポリコレ脳を揺らす目覚まし時計のベルみたいな作品だ。
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