donchandau

わたしと、私と、ワタシと、のdonchandauのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

2023.30/31/32本目

「ただ夏の日の話」
130もの時計のパーツをバラバラにして海に放り込む。それらが自然の水の流れで組み合わさって、ひとつの時計が完成する。その確率は、地球上に生命が発生する確率と同じ。
そんな奇跡的な存在である私たちが、どこかで誰かと出会うなんて日常的なこと自体が奇跡のようなこと。
そんな日常の中でも奇異な出会い方をした2人の物語に、心打たれ、25分とは思えない満足感を得られた。
けっこう好きなストーリーだった。

「春」
当たり前だった日常が、祖父の認知症によって、少しずつ変わっていく。家の中では認知症の祖父に振り回され、家の外では思うように評価を得られない学生生活を過ごし、フラストレーションが溜まっていく。
最終的には、祖父と仲直りして共に生きていくことに成功する。
決して珍しい話ではなく、誰の身にも起き得ることで、まるでドキュメンタリーを見ているかのような気分になった。

「冬子の夏」
特徴的な音楽とテンポで話が進んでいく。
青春を謳歌しようとするクラスメイトを、アホらしいと見下す主人公。
マジョリティを嫌い、みんなで同じように生きることを小馬鹿にする。
自分が周囲に埋もれていく恐怖を拭うために、自分は周囲の人間とは違うと言って、自分という存在を確立しようとする。
私にもそういうことを考える時期があったからか、冬子に強く共感した。。。
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