BOB

いますぐ抱きしめたい 4Kレストア版のBOBのレビュー・感想・評価

3.5
ウォン・カーウァイ監督の長編デビュー作。

香港のチンピラが、初めて会った従妹と恋に落ちる傍ら、弟分が起こした厄介事の尻拭いに奔走する。

「生涯見下されるならたった1日の英雄でいい」

香港の暗黒街で刹那的に生きる若者たちの姿を、エネルギッシュかつエモーショナルかつムードたっぷりに描いた犯罪&恋愛劇。

ジャンルとしては香港ノワールだと思うのだが、暗闇に煌めくネオンに白煙、近未来SF的なサウンド、アメリカン80'sを匂わせる音楽、味わい深い独特の撮影など、WKW監督のセンスが随所に光っており、従来の香港ノワールとは一味違う印象を受けた。

後に『恋する惑星』や『インファナル・アフェア』シリーズを手掛けることになる撮影監督アンドリュー・ラウの撮影が面白い。"速くて遅い"アクションシーンが目を引いた。特に、アンディ・ラウの1つ目の復讐シーンは痺れる格好良さがあった。

アンディ・ラウ×マギー・チャン×ジャッキー・チュンと、若き香港スター俳優の共演も大きな見所。血気盛んで男気溢れるアンディ・ラウ。あどけなさの残る表情が可愛らしいマギー・チャン。単細胞的なトラブルメーカーだが、どこか憎めない魅力を放つジャッキー・チュン。

恋愛パートでは、広東語verの"Take my breath away"♪ が使われており、80'sロマンチックムードを加速させる。マーベリックとチャーリーばりに、熱く危険な恋の炎が燃え上がる。

「生涯見下されるならたった1日の英雄でいい」というジャッキー・チュンの決め台詞は『キング・オブ・コメディ』の引用だろうか。

150
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