けんちん汁

雪山の絆のけんちん汁のレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
5.0
世間では酷評気味である「ジュラシックワールド:炎の王国」を見て、俺はバヨナに惚れた。
彼の魅力はかつてのスピルバーグのように、演出が上手くて怖いところだと思う
デビュー作こそ直系のホラーではあったが、以降は他ジャンルを撮り、その中に上手くホラー演出を加えている
炎の王国は演出のレベルの高さだけで言えば、一作目ジュラシックパークに次ぐと思っているし、
アバンのモササウルスの使い方には普通に泣いた

それくらい愛している監督の最新作が限定公開されるとのことで、
劇場にいそいそと馳せ参じたわけだが、

これまた大傑作。
こいつマジ何でも出来るなレベルである。

過去にも映画化された飛行機事故の映画化とあり、
ネタはばれているにも関わらず、演出のレベルの高さでそこをカバーするどころか
大傑作に仕上げてくるあたり、バヨナはまじもんでぱない。

二時間超えの本作だが、無駄なシーンが全くなく、全てが物語として活きている
本作のメインは聖餐の部分だが、今作は聖餐に至るまでの極限状態を丁寧に描写してくれるため、
彼らのサバイバルをノイズなく鑑賞できるようになっている

そしてなんといっても、演出がさえわたっており、
絶望と希望の作り方が上手すぎる。
結末を知る我々に集合写真を見せるところや、しっかりと凄惨な飛行機墜落シーン
何より凄かったのは、生存者たちがラジオを聴くシーン
捜索の打ち切りを知らせるラジオのあと、CMをバックに引いていくカメラに
この作品どこまで意地が悪いんだと思わず笑ってしまった
ただその分最後の発見シーンは確実に報われたと感じられるラストになっており、
胸をなでおろすこと必至

音楽はマイケルジアッチーノ!
彼の音楽は本当に良い
しかもスペイン映画の劇判も担当してくれるなんて確実にイイやつ

音響もかなりいいので、劇場で観れる方はぜひ劇場で、
家で観る方もしっかり音を聴いて視聴してほしい