たく

不意打ちのたくのレビュー・感想・評価

不意打ち(1964年製作の映画)
3.5
ほんの偶然の出来事がおぞましい事態を呼び込んでいくサスペンスで、オリビア・デ・ハビランドの気品ある美貌から阿鼻叫喚の叫びまでの幅広い演技を堪能できる。

タイトルバックの街の喧騒から、車に轢かれた犬に誰も関心を示さないシーンを見せる演出が上手くて、「都会の人間の無関心」というメッセージ性を感じさせる。
貧富の格差もテーマになってて、金持ちの奥さんが不良番長に向かって「自分が払った税金で運営されてる少年院があなたみたいなクズを産んでる」ってセリフをはき捨てるように言うところに金持ちの傲慢さが出てたね。

エレベータが故障し、アル中爺さんと売春婦と不良少年グループの闖入からの展開がかなりグダグダで飽きてくるんだけど、冒頭に出てきた息子の手紙の内容が終盤で明らかになるところで作品ジャンルがサスペンスから一瞬にしておぞましい人間ドラマに変わっちゃうところが凄まじかった。ここはちょっと「ミモザ館」を連想したね。
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