Reno

アメリカン・フィクションのRenoのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
5.0
素晴らしかった、、

前情報的に社会的メッセージの面で期待していたんだけど、それは当然として、想定外にヒューマンドラマとして良すぎて、思わぬ爽快感を感じられる映画だった。

もっとがっつりシニカルだったりするのかと思いきや、主人公やその家族など、とても良いキャラばかりが織りなすナチュラルなコミカルさと悲哀に満ちたヒューマンドラマ✨

笑える部分も切なさを感じる部分も全部が全部、本当に存在する誰かの人生を見ているような、フィクション的なコミカルさやフィクション的な御涙頂戴の域までいかない絶妙なトーンで流れるように並列にすぎていって。

本当みんなのキャラの良さ、それぞれの性格やそのセリフの数々が心地よかった、、

そして日本でマジョリティ民族として生きてきた私としては、黒人の視点は語れないけど、トランスジェンダーとしては、主人公達が感じていた、世間が求める物語はステレオタイプに偏っていて都合良すぎる、悲劇ばかり望まれるみたいなのは、すごく身に覚えのある感覚だなと。特に海外はともかく日本では、私のようなトランス、またはその他のLGBTQ+のいずれかを描いた作品って本当、当事者からしてがっくりするものや怒りを感じるものばかりだからね。なのに当事者以外からは評価されちゃうってのも、ここ最近だって「怪物」や「ミッドナイトスワン」「おっさんずラブ」とかほいほい例が出てきちゃうからね。嘆かわしいことに、、、

だから私なりのそういう視点で、この作品に込められた黒人コミュニティの思いも、とても納得感があって

それをこんなふうに良い作品にまとめ上げていてすごい、、

最後の二重構造なんかは、私のような大した教養のない者には、なんと言ったら良いのか分かりません。笑 ただただすごいな…って。単純な答えに行きつかないでよっていうのもこの映画の大きなテーマの一つだろうし、それもまた良いんだよね!きっと!笑

といことでトーンからセリフ、キャラ、音楽、景色、物語まで全てが心地よい素晴らしい映画でした!!

ソルトバーンやファーゴ シーズン5の時も書いたけど、MGMがAmazonに買収されてくれたおかげで今作もこうして日本で簡単に見られるの本当にありがたい、、やっぱり庶民としては劇場公開より配信で世界リリースの方が見やすいからね!!



〜おまけ : キャスト〜
そうそう途中までどれがイッサ・レイかわからなかった!!イッサといえば「バービー」はもちろん自信が主演とクリエイターを兼任した傑作ドラマ『インセキュア』全5シーズンも黒人の物語として代表的で、私もすごく好きなのでぜひ見てほしい!!

私が並々ならぬ愛を持っている「ウエストワールド」やMCUのウォッチャー役、The Batmanのゴードン刑事役、ハンガーゲームシリーズなどでおなじみ主演のジェフリー・ライトは、いつも真面目な役が多いから、今回は珍しく少し荒々しさのある役なのが新鮮だった!!

イッサが逆に真面目で大人っぽい小説家役だったから、これまでの二人とちょうどイメージが反対の役で新鮮だった!
Reno

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