指の小指

アメリカン・フィクションの指の小指のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.5
アカデミー賞にノミネートされているものの日本での公開は無し。Amazon Prime Videoで配信が始まったとフォロワーRUMIさんからお聞きして鑑賞!

英文学の教授であり作家でもある主人公セロニアス・エリソンは、有名ジャズピアニストを連想させる事から“モンク”の相性で呼ばれている。

学校は休職、自らの本は泣かず飛ばず、家族には様々なトラブルと疲弊する中で“世間が求める”黒人文学を半ばヤケクソで手掛ける。

タイトルも病理学である“パソロジー”から大麻を吸う意味のスラングにかけて“パフォロジー”としたり(これもとんでもない名前に変更になるけど笑)、いかにもステレオタイプが喜びそうな困窮した黒人の話を偽名で書くと、これが大当たり🎯

2Pacの“THUG LIFE”をもじったポスターアートの“THUG LIE”の通り、モンクは嘘から誕生したもう一人の自分を演じることに…。

マーケットに求められるものとのギャップに戸惑いつつも、家族ドラマをベースに緩やかに運ばれていくストーリーは笑いあり、考えさせられる部分もあり。

「デッドプール」のブラインド・アル役レスリー・アガムスが母親、「ブラックパンサー」ウンジョブ役スターリング・K・ブラウンが兄クリフで出ていたのも嬉しい。家政婦ロレインの見せる笑顔が良かったなぁ。

ピアノを中心とした音楽面もかなり好み。劇中モンク・ヒギンズとして知られるサックス奏者ミルトン・ブランドがカバーした「The Book Of Slim」が流れて、そっちのモンクもかーいとなりました😂

結局、(ステレオタイプな)白人が求めるラストはこうなるのかという皮肉。これは“アメリカン・フィクション”でもあり“アメリカン・ノンフィクション”でもあるんでしょう。


余談ですが、2017年にセロニアス・モンク生誕100周年記念でエピストロフとブルーノートが製作した「MONK's Playhouse」は当時聴いていました。彼からバンド名も影響を受けているWONKの「Cyberspace Love」は好きな楽曲🎹

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