"黒人らしい"黒人の小説しか売れない世間の風潮にうんざりしていた小説家のモンク。酔った勢いに任せ、"黒人らしい"小説を執筆してみると大ヒットしてしまう・・・的なお話。
めっちゃおもしれぇ！！日本じゃ全然話題になってなかったけどアカデミー賞のおかげで発掘できました。サンキューアカデミー。
今の世の中の風潮に対する皮肉が最高に効いてて、それでいてセンスのあるコメディ具合が絶妙。モンクと出版社のやりとりめちゃくちゃ笑った。個人の信念は社会の風潮に勝てないってところも一貫してて好きだった。
笑えるだけじゃなくて、"らしさ"とはなんだろうと再考させられる作品。勉強不足な自分じゃ黒人に対する解像度まだまだ荒いけど、モンクの言うように「黒人のドラマはいつもラッパー、ダメ親父、コカイン、最後は警察に打たれて死ぬ。」作品が多い。高度な教育を受けられる家庭で育ったモンクからしたら"黒人らしい"作品を書けと言われても逆にそれはリアルじゃないよな。「白人は黒人に対する贖罪を作品の中に求めている」ってのも妙に腑に落ちた。このへんが面白いと思えるのは自分が第三者だからだろうか。ただ世間に迎合した作品が多い感じ、日本の小説でもめっちゃ感じる。人はドラマを求めるから仕方がないことだけど。
