亡き両親との再会、孤独な魂の結びつき、
ロマンティシズムのとなりに
常に「痛み」が横たわる映画だった。
「痛み」の根元へと遡り、
当事者への認知と受容の間にある
「絶妙な距離の埋まらなさ」や、
世代間による価値観の違い、
傷口が開いたままの癒えない過去の傷、
クィアとして生きる2人の男性の孤独な痛みを
とても解像度高く描写していた。
本作は静寂と親密さを貫く映画でもあり、
同じマンションの一室で
相手と自分の傷に寄り添う、癒す、というところに帰着している。
決して美しさだけで語ってはいけない、
そんなところに本作の意地のようなものを感じた。
昨今のクィア映画の中で
1番腑に落ちた結末だったかもしれない。
同性愛が嫌悪の対象として扱われていた80年代。そんな時代にマイノリティたちの心を救ってきた
劇中に流れる楽曲にも注目したい。