アンバー

異人たちのアンバーのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
5.0
都会のマンションで独り静かに暮らす、物書きの主人公は、どこか怪しげで寂しそうな雰囲気を纏う、同じマンションの住人のハリーに出会う。
その後、両親と不思議な再会をすることに。

両親との対話では、子育ての大変さを楽しめられればよかったと振り返る母と、話を聞いて抱きしめてやることができなかったと後悔する父。

クィア、ゲイという言葉。
主人公はこの言葉に思い悩まされてきた。
それを両親に打ち明ける主人公、それを聞いた両親の、率直で嘘偽りのない反応。

自分から誰かを愛したことがなかった主人公は、両親との対話を経て、これからは一緒にいる相手を愛することに決める。

全編を通して、「孤独、寂しさ」と「愛情、優しさ」に溢れる作品だった。

山田太一さんの原作小説、日本版の映画に比べ、クィアというテーマを盛り込んで舞台をイギリスに置いているところから、違った良さがあった。
キャストが、それぞれの立場での抱えるもの、感情、考えが違いを、素晴らしいほど繊細に表現していてそこにも感動した。

個人的にポールメスカルとアンドリュースコットの共演は願ってもない機会で、二人の良さを生かした素晴らしい作品に出会えて、それだけでも幸せだった。
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