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軽蔑 60周年4Kレストア版のrebのレビュー・感想・評価

軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)
3.7
作家のポールはフリッツ・ラング(本人)が監督する映画の脚本の修正を依頼される。アメリカ人プロデューサーはポールの美しい妻カミーユに関心を寄せ、カミーユは夫に愛が冷めたと告げる。
久しぶりの鑑賞。チネチッタスタジオもカプリ島の別荘もやっぱ全てが美しい。
ゴダール作品の中で唯一ハリウッドの映画人と組んだ本作。
そしてカミーユを演じたのはフランスのセックスシンボル、ブリジット・バルドー。
彼女の出演料は製作費の半分に及んだとか。
アメリカ人プロデューサーはバルドーのヌードシーンをめちゃくちゃ求めたが、商業的映画を好まないゴダールは、男優との絡みもNG。許したのは、あの後ろ向き全裸シーン。さすがというか、バルドーのあの背中からお尻のラインの美しさはため息ものだ。
おまけにそのプロデューサーの姿を、本作のジャック・パランス演じるいけ好かないアメリカ人プロデューサーの人物像に投影したらしい。
そして面白かったのは、ポールとプロデューサーとの会話を、そのくらいわかるでしょってことまで、秘書の女性がいちいち通訳しなければ、2人の会話が成り立たないということ。
これはフランス映画とアメリカ映画とは、所詮分かり合えないという映画観の対立を、ゴダールなりの皮肉で表したものかもしれない。
別れる理由が“軽蔑“というのは、わからなくもない。程度の差こそあれ、人を愛するということは相手を尊敬することだと思うので、尊敬する気持ちが失せてしまえば、軽蔑へとまっしぐら。
そしてその言葉は、言い渡された方は自尊心をズタズタにされるので、かなりのダメージを受けてしまう。
まぁバルドーのようなお体とお顔がなければ「もう愛してない。あなたを軽蔑するわ」とはなかなか言えないのが実情かと。
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