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エリス&トムのshinichiroのレビュー・感想・評価

エリス&トム(2023年製作の映画)
4.5
◎ 地面、足、前に進む。大和魂を感じた。

1974年にリリースされたブラジルのElis ReginaとAntonio Carlos Jobimの傑作アルバム'Elis & Tom'についての映画
1枚のアルバムについて焦点を当てた映画作品は珍しい気がします。知らないだけか、、Apple TVやWowowのプログラムにはありそうかも。

動いているジョビンを初めて見たと思うが佇まいなどカッコ良すぎた。彼が鏡に向かってフルートを演奏している姿を初めて見ることができていたく感動。

2人がギターと歌でリハーサルしているシーンは神がかっていた。

知られていない秘蔵エピソードはジョビンはエリスのアルバムのスペシャルゲストみたいな扱いだったらしい。レコーディング中も序盤は元々の不仲もあり関係性があまりよくなかったみたいだ。そもそもの企画自体はレコード会社が主体だ。
トム(ジョビン)のミニマルな世界観の美しいハーモニー。エリスの歌い方もその後余白を取り込むようになる。
映画ファンには馴染みのペドロ・アルモドバルの'Talk to Her'の闘牛の場面でこのアルバムの曲(Por Toda a Minha Vida)が印象的に使われている。

気になった出てきた人物や名前
※Gerry Mulligan, Dizzy Gillespi, Charlie Byrd, Frank Sinatra, Toots Thielemans, Cesar Camargo Mariano,Luizao Maia, Bob Dylan, Madonna, Wayne Shorter, Villa-Lobos, Ary Barroso, Pixinguinha, Igor Stravinsky
レコーディング時のメンバーやプロデューサー、娘、元夫、リオの植物園の人、音響兼ミキシングエンジニア。

3人のリハーサルの小休憩時のアリー・パローゾののど自慢大会における笑えるエピソードは作曲家の名前で上がったのがモライスの名前だけで共作者のトムの名がでてこなかったからか。イ長調のツボはよくわからなかった。

このアルバムがリリースされる前の2人のそれぞれのエピソードを交えながらその後のキャリアの転換などについて関係者の話やレコーディング風景の古い映像で構成。
エリスが世界各地で生き生きと歌う姿、軍事政権の下オリンピックで歌ってしまった暗い過去。終わりは自殺となっている。
新天地を求めて故国を離れてアメリカで思索的に活動するトム。タバコがおいしそう、どこでも自由に吸えた時代が羨ましい、Stone Flower
'三月の雨'で始まって終わる。
何度聞いてもくだけた笑い声がたまらないです。散文的な歌詞も大分好みだ。
トリスチやコルコヴァード、薔薇にふる雨(歌詞にはジャスミンも出てきた), etc、静と動、明と暗が絶妙なバランス 愛が溢れていた。あなたでなくてはならなかった。
https://music.apple.com/jp/album/elis-tom/1438430508

@ブラジル映画祭in名古屋
映画が始まる前にブラジル人と日本人のデュオの方たちのアルバムの演奏曲を生で聴けてめちゃくちゃ感動した。家でしこしこ接してきたが、MPBやBossa Novaのライブを聴くこと自体初めてだったかも。
世界の裏側を意識した。

◉ Elis Regina&Antonio Carlos Jobim - Aguas de Marco (Waters of March)
https://youtu.be/FIxbdXrhfiw?si=BYIIXi77vIZMC8uS
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