Uえい

HereのUえいのレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
3.5
休暇で帰郷する前の男と、苔を研究する学者のラブストーリーなのだが、優しくて凄くいい映画だった。

建設現場で働くステファンは長期休暇に入り、母国ルーマニアに帰ろうとしていた。車の修理など、帰国の準備をする側、冷蔵庫に食材を残しておく訳にもいかず、スープを作って友人達に渡していた。

車を引き取ろうと森を抜けようとしたところ、苔の調査を行っている中国系移民の女性シュシュと出会う。彼女が手伝う中華レストランで顔見知りだったため、声をかける。苔は森の縮図の様で、ルーペで見ると小さい葉っぱが生えていて美しかった。そして、二人は森の奥へ向かい、苔を見ながら親密になっていくのだった。

ステファンは帰国する予定だったが、そのまま帰ってこないという選択についても考え悩んでいた。そして、子供の頃の思い出を振り返るなど、散漫な印象で、過去、未来について意識が向いていた。

一方、シュシュは、道端の苔を拾って観察するなど、一瞬一瞬を大切に生きている印象で、今に意識が向いている。そして、顕微鏡やルーペを覗くようにフォーカスしすぎている印象も持った。ステファンの名前を聞き忘れていたくらい笑

この真逆とも言える二人が惹かれ合うのが、必然かのようで、足りない部分を補うようで、とても良かった。二人の背景の描写が多く、二人のシーンが少なかったのも良かった。

瞬間を大事にするイメージは、バス監督のテーマなのかもしれない。前作でも、何気なく電車で通り越してしまう道を、徒歩で歩き直し、人との出会いや新たな発見、気づきを得ていたのが印象的。

今回初めてbunkamuraル・シネマに行ったが、駅近だし劇場環境も割と良かった。渋谷は人が多くて苦手だったが、改札の工事などのおかげで導線が改善されていて抵抗感が減ってきたかも。チャイラテが美味しかったのでおすすめです😋
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