茄子

Hereの茄子のレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
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映画というのは、どこまでもおそらく、おたがいのエゴみたいなもので、わたしはいまのわたしに必要なものをさがしにゆくので、最近は、映画のなかに、物語、はどうでもいいというか、そこは求めてないねん、というかんじ。そこからわたしがなにをみいだすか、考えるかがすべてなような気がしている。(だからわたし批評とかできない)
わたしはじかんのありかをさがした。
足音は気がつけば止み、また気がつけば鳴っていた。そこにはかならず、たとえ一滴一滴の作業でも、ぷるんと水のはってあるコップからあふれる瞬間───この耳にきこえることときこえないことのあいだにはさかいめ、があるわけで、だからさかいめがあったはずなのだけれど、気がつけば、わたしの耳にははっきりと、連続した足音がなっていて、けれどわかることは、それがたった今はじまったものではないということと、さっきまではなかったものであるということだけだった。
観にいってよかった。すべてを焼きつけておきたいとか、記憶に残り続けるとか、感動、とか、わたしにとってそんなのではないけどそれで良くて、きれいで穏やかで、しんしんと見つめつづけてはなさないような、そんなものだった。エンドロールもすてきだった。まずわたしたちには、役割ではなくなまえがある。
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