ビンさん

違う惑星の変な恋人のビンさんのレビュー・感想・評価

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)
2.8
ナナゲイ最終日になんとか滑り込みで、やっと観ることができた話題作。

4人の男女が織りなす、恋愛コメディ・ドラマ。
なんて書くと陳腐なイメージだが、かなり緻密に書き込まれたシナリオがとにかく凄い。

監督・脚本の木村聡志氏の作品を観るのは今回が初めて。
ところどころに細かいネタを散りばめて、登場人物たちの会話で物語を構築していこうというスタイル。

ただ、幾つも思わず笑ってしまう部分もあったのだが、正直それが次第に鼻についてくるのだ。
なんというか、俺って面白いでしょ、みたいな、演者でいえば中島歩さんみたいな(笑)
本作を観ようと思ったのは、まさにその中島歩さんが出演していたのも大きな理由である。

容姿はほんとにオトコマエなんだが、かつてはそれが妙に鼻についたのだ。
俺ってカッコイイだろ、みたいなアピールが画面、もしくはスクリーンから見えるようで、それがとにかく印象悪くてね。

しかし、ある映画に出演された中島歩さんに対し、別の演者さんがその作品の舞台挨拶に登壇された際に、中島歩さんって変な奴キャンペーン(そんなのないけど(笑))をされてて、そうか、中島歩さんって変な奴なんだ(笑)、とその作品を観て以降、中島歩という俳優の人間臭さ、面白さに気づいたのだった。

本作における中島歩さんの役柄は、ザ・中歩‼️ってくらいに似合いすぎて(笑)、それも本作のツボでもあるのだが、どうもそれすら、俺ってわかってるでしょ、みたいな空気を本作から受け取ってしまい、さぁ〜〜〜っと音が聞こえるかのように、興味が引いてしまったのだ。

と同時に、細かく書き込まれた脚本が、ことごとく空虚に思えてしまって・・・。

特に今回、ナナゲイの最終上映日ということもあり、本編の1シークエンスの完全版が本編終了後に特別上映されたのだが、それもまた思いっきり空虚で、正直、なんでこんなのに付き合わされなあかんねん、と思ったくらいに。

これはほんとにこちら側の勝手な印象であって、監督にそんな姿勢はないのだろうけれど(笑)、とにかくどうも最後まで乗り切ることができなかったのだ。

とはいえ、かつては抵抗を持っていた俳優、中島歩さんに対して、今は出演作が楽しみになるくらい心の変化があったのだ。
本作もいつかは手放しで楽しめるようになる日はくるのだろうか・・・。
ビンさん

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