北センチネル島は2018年また有名になった。"サタンの最後の砦"に宣教師が挑み殺されたからだ。この島を検索したとき表れる写真が語ることは、外部からの切り取りでしかないことを忘れてはならない。この島は我々のパフォーマンスの舞台だ。「写真技術が生まれた当初から使う言葉"とらえる"、像や物体の形を"捉える"と言う。違う"とらえる"にも成功した。捕える、だ」
少し違う話をする。アメリカが行った水爆実験で近隣に移住させられかつ被爆した島民に対する補償があった。それまで彼らは独自の持続的生活があったがそれを奪い、与えた補償とはアメリカ式暮らしへの依存だった。それまで海に帰っていた食料や資材は外部から運ばれたプラスチックや缶や袋に代わりそれらは浜辺に残るのだ。次の世代の子供は生まれながらに体に欠陥があり、その浜辺を裸足で走り回る。
「けっこうです」という意思を示す表現は日本だけでさえ多すぎる。これを判断するのは時に難解だが、きちんとそのことをわかっていれば"拒否"と"無理解"は違うと気付くはずだ。接触が初めてでも相手にとっては初めてではない。外部にとっては特別でも内部にとっては特別ではない。わたしが求めていてもあなたは求めていない。神から聞いたことは神は言っていない、かもしれない。宣教、殉教なる造語は侵略、わからずやを表すのかもしれない。
相手は自分を信じているが、自分は相手の人生観を否定しその上で現実に存在しない神を信じろとは極めて不誠実な構造に思える。この構造の裏にただひたすら自分自分を押し付けるメサイアコンプレックスが透けて見える。ただ感謝されたいだけなのではないか？それに自分の考えを述べずにあの人がこう言っていたからこう、は対話が成り立つわけもない。拒否の意思を理解したとき初めてわたしたちはこの社会を少し理解できるのではないか。ただ生活を営んでいた人たちが突然標本にされるか外の病気を持ち込まれ滅びる一方で、都合よく歪曲された英雄譚が煌々と語り継がれ次の死をもたらす。衝動を使命と置き換え他責を突き詰める側面が宗教にはある。この世から信者がいなくなったら、やはり神も消えるのだろうか。彼の死後ネットは彼を大いに嘲笑った。そんな人たちがいなくなった時イエスが再臨するのだろうか。一体何を言うんだろう。その時信者はもう必要なくなるんだろうか