Yoshishun

勝手にしやがれのYoshishunのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
3.6
[2000Mark到達目前!未見の名作カウントダウンマラソン🏃]
第3回は、1960年公開のフランス映画『勝手にしやがれ』

アメリカン・ニューシネマに影響を与えたとされるヌーヴェルバーグの中でも屈指の傑作と謳われる、ゴダール監督作。60年の時を経て初鑑賞。

私はアメリカン・ニューシネマの中でも『明日に向かって撃て!』『俺たちに明日はない』が好きだが、本作は後者にやや近いものを感じた。主人公はヒーローなどではなく、何かしらの犯罪に手を染めており、欲望のために盗んだ自動車で走り出す姿がそっくり。規律を破り暴走する主人公、そしてほんの3日だけ夜を共にしたヒロインによる危険なカップリングは、どこかお洒落で滑稽に描かれる。隙あらば尻を触ろうとし、敢えなくビンタされるという繰り返しが非常に滑稽で笑える。

当時としては画期的であったジャンプカット、さらには第4の壁をもぶち破る演出が見所。観客に語りかけ、スタイリッシュにタイトル回収する展開には痺れた。

しかし、やはり見る順番や年代で素直に楽しめない自分もいた。先に『俺たちに明日はない』に衝撃を受けた私としては、予想通りの結末で新鮮味がなく、ジャンプカットというのも映画自体のテンポを良くする効果があるとはいえ、あまりに小刻みすぎてくどい。編集が雑に感じてしまう。

癖の強いキャラクター、独特な編集が大きな魅力である本作は、今の映画に慣れてしまっている、もしくは先にアメリカン・ニューシネマに触れている自分には物足りなかった。ただ映画史に大きな影響を残したのも頷ける画期的な作品ではある。
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