SANKOU

勝手にしやがれのSANKOUのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
5.0
ゴダールの作品の中でも魂に訴えかけてくる珠玉の逸品だと思う。台詞のセンスの良さと、衝動的だけど人を惹き付けるミシェルを演じたジャン・ポール・ベルモンドの少年を思わせるような無邪気な表情が頭から離れない。ジーン・セバーグのボーイッシュでセクシーな容姿もこの映画に合っている。ミシェルがパトリシアの部屋に無断で泊まり込んだ後の展開がとてもお洒落で好き。二人のしかめっ面、8秒以内に笑わないと首を絞めると脅すミシェル、肩と口と目のどこが好きと訊ねるパトリシアの肩と尻を触るミシェル。ジーン・セバーグが自分の唇を触る仕草がとても色っぽかった。愛について確かめ合う二人のやり取りがどこまでもお洒落でカッコいい。物語は徐々に破滅に向かって進んでいるのに、エネルギーは最後まで失われない。通りをよろめきながら逃げるミシェル、力尽きて「全く最低だ」と呟くラストシーンは有名だが、その後のジーン・セバーグの無表情で唇を触る仕草も印象的だ。数々の名台詞があるけど、個人的に「車は走らせるためにある。止まらせるためではない」が何故か気に入った。
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