このレビューはネタバレを含みます
非常に詩的で上品な画作りに魅せられる。記憶をなくした2人が辿る迷える魂の旅路、曖昧に紐解かれていく過去。神秘的で現実離れした世界観の表現、異界の雰囲気に説得力を持たせるキャスティング、小松菜奈と松田龍平の魅力、ホラーテイストでファンタジックな演出が相まって素晴らしい世界観を生み出している。暗闇の使い方、黒の使い方も非常に効果的で何か死の世界から覗かれているようなゾッとする瞬間やショットがおぞましくも美しく映る。画の雰囲気も去ることながら建物の造形や色味もかなり黒沢清監督作品のような質感で個人的にはとても好み。彷徨い続ける孤独な魂たちに癒しと救いの手を差し伸べる。
