河西

わたくしどもは。の河西のネタバレレビュー・内容・結末

わたくしどもは。(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます


私は素晴らしい映画に出逢いました。
愛おしくてたまらない作品です。

冒頭から現実のようで非現実的な空気に包まれてゆっくりとゴンドラに乗ってジリジリと自分が連れていかれる感覚。

連れて行かれる私たちへ、個々それぞれ感じるあたたかな余白もくれて、
メッセージの押し付けなんてものは一切無くて、概念というものに縛られず100分間の夢を見た気持ち。

この映画が表面を埋めるための評論をされたくないと、あたかも自分の大切な夢を抱きしめる思いで劇場を出ました。

なのでなかなか具体的なレビューを書く気にもなれない。
ただ、大竹しのぶさん、小松菜奈さん、松田龍平さんの削ぎ落とされた(ある見方をすれば、人間味が無いとも捉えられるけれど)佇まいが不思議な事にその世界の生き物として、何一つ違和感が無く思えたこと。
演劇のように1人語りをする場面も、まるで不思議に思わない事にも驚く。

素晴らしいメイドインジャパニーズムービーです。
このような作品を誰が真似出来ようか。

大竹しのぶさんの四十九日を言い伝えられたシーンは瞬きが出来ません。
あの涙(雫)は今まで、映画で観た事はありません。大好きなシーンです。

小松菜奈さんの女優としての素晴らしさを改めて強く実感した。圧倒的な美貌とオーラがある彼女がここまでこの作品の中を生きてる人物として存在するこの在り方は、尊敬します。

第一線で活躍している俳優を起用して視聴率、動員数を高めるという部分に少し偏見を持ってきた自分を殴りたくなります。
監督が正直に「たくさんの人に観てもらうため」そう言っていた事に大賛成できる映画。
その根底には説得力がある方々だからこそ。


館長が天へ手を伸ばすシーンは
神秘的で、幻想的であり、まるで絵画のようです。
このシーンがあるのと無いのとは、大きく変わる気がしました。
神秘的で幻想的、この作品はそれそのものだからな気がします。

何一つ、具体的なことを言っていないのに
この文字を打つ手がとまりません。
不思議です。

まだまだ感じたことを書きたいですが、終わります。
河西

河西