Kachi

毒のKachiのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.5
圧倒的な緊張感

油断すれば噛まれるかもしれない、という緊張感に包まれた15分間。私は、ヘビは居ないんじゃないかとずっと思っていたが、現場に居合わせたらリスクを考えて「いるかも知れない」という方向に考えてしまうだろうと思った。

本作は、情景描写を含めて軒並み言語化(本で言う地の文)がセリフを通してなされているが、別にセリフを追わずとも映像から情景は一目瞭然。これはあくまでも、ロアルド・ダール原作の話であり、読書を追体験できるような仕掛けとして機能している。

本作の面白さは構図だと思う。
冒頭は、舞台となる家全体。そこから語り手の一人称視点での描写を挟んで、途中、天井から眼下に見下ろすような構図を取ってから、第三者的視点でのラストに至る。

それゆえに、蛇がいるかもしれない→医者を呼ぶ→医者がくる→蛇に備える→シーツを取ると蛇がいない→…
という単調なストーリーを飽きさせないように工夫が凝らされており、この試みは成功していると思う。
Kachi

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