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ゴールド・ボーイのカポERRORのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.3
【目を閉じて思い出して下さい…
  あなたが13歳のとき…
    一番の望みは何でしたか?】

本作『ゴールド・ボーイ』。
家の近くのTOHOシネマズでは、今日が最終上映らしく、昨日レイトショーに滑り込みで鑑賞してきたのだが…いやはや最高だった!
久しぶりに極上のエンタメ・サスペンス・ムービーと出会えてご満悦である。
つい先日『CLOSE/クロース』を観て、13歳のベルギー少年たちの脆く繊細な心に胸を打たれたばかりの私。
本作の主人公たちも全く同じ13歳なのだが…今回は、胸を打たれたではなく、胸を撃ち抜かれた感じだ。
そりゃあ、中国の原作ベースで、港岳彦氏の脚本なのだから、こんな13歳は実在するわけがないのだが…主演の羽村仁成くんの怪演があまりにも凄すぎて「まかり間違ってこんな奴近くにいたらどうしよう」と震えてしまった。

さて、上述の『CLOSE/クロース』では、13歳のレミが同性で同い歳の幼なじみレオとの”永遠の愛”を望んだが、本作『ゴールド・ボーイ』では、13歳の朝陽がある人物の”抹殺”を望んだ。
一言言わせて欲しい。
最近の13歳…どいつもこいつもなに仕上がっちゃってんのよ!?
13歳だよ、ジューサンサイ!!
それに引き換え、私の13歳の時の望みときたら…。
いいか、耳かっぽじってよく聞くがいい。
今から数十年前、私が13歳の頃、ある誰にも言えない重大な悩みを抱え、私は日々眠れぬ夜を悶々と過ごしていたのだ。
今でこそ言える、そんな13歳の私のたった一つの望み…それは他ならぬ「チ〇コの皮を剥きたい」だった。
毎日毎日風呂場でチャレンジはするのだ。
だが…痛くて怖くてなかなか剥けなかった。
そう、中二になるまで、そんなこと私は気にもしていなかったのである。
だが、クラスのお調子者「モリゲン」が、昼休みに皆の前で披露した替え歌が私の人生を変えたのだった。
それは当時再放送されていたアニメ『妖怪人間ベム(1968年作品)』の主題歌の替え歌…
【包茎人間ベム】
♩闇に隠れてシコる
 俺たちゃ包茎人間なのさ
 人にお股を見せられぬ
 子供のようなこのカラダ
 早くムケチンになりた〜い♩
私は、13年間の人生で最大のショックを受けた。
なんということだ。
これはまさしく私を歌った歌ではないか。
私は…包茎人間だったのだ。
それからというもの風呂場で悪戦苦闘の日々が続いた。
『ゴールド・ボーイ』の作中で、主人公朝陽は不敵にこう言う…
 13歳は少年法で守られているんだ。
私の場合はちょっと違う…
 13歳の少年砲が(皮で)守られているんだ。
嗚呼、朝陽と私、この恥ずかしいまでの格差は一体…。
いや、ちょっと待て。
朝陽と私、共感出来た部分もあったはず。
そう、作中ラストで朝陽が鼻歌交じりに街を歩くシーン、あれには妙なエンパシーがあったではないか。
私もかつて、朝陽と同じように意気揚々と鼻歌交じりに近所の商店街を闊歩した記憶が…。
そうだ、あれは…チ〇コの皮が剥けた翌日だ!
13歳で包茎人間を卒業し、ムケチン=大人になった翌日の空は、真夏の沖縄の空のように青かった。

✤✤✤

本作の見どころは、主人公朝陽の遭遇する出来事がどれもこれも偶然の産物でありながら、それらを天才的な頭脳で自身のシナリオに組み込み、最終的に完全犯罪に帰結させるという、荒技の秀逸さにある。
それは藤井聡太やマクガイバーを彷彿とさせる爽快さよ。
だが、最後の最後、天才朝陽のシナリオにまさかのほころびが生まれる。
あれは、藤井聡太が王将戦にて二歩で敗北するようなものだろうか。
…有り得ない…
え?『ゴールド・ボーイ2』?
…それも有り得ない…
そう言えば、私の長男は、私が教えてもいないのに小学3年でもう風呂場でチ〇コの皮剥いてゴシゴシ洗っていた。
…絶対に有り得ない!(包茎人間完全敗北)

追伸)
新日本プロレスのグレート・O・カーンの体当たり演技の数々…
・スウェットの下を脱いで娘を強姦しようとする。
・娘に土手っ腹を刺される。
・13歳の少年にナイフで脅されビビる。
・娘に足蹴りでフルボッコにされる。
…どこから見てもリアル性犯罪者で、プロレスファンの私は感涙した。
ありがとう、O・カーン。
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