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ありふれた教室のrebのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.3
ドイツのとある中学生で金品の盗難が相次ぎ、赴任したばかりの教員カーラは、職員室の自分の席のパソコンのカメラを起動させておく。
もともとカーラが“盗撮“をしたのは、校長たちによる、軽微な規律違反であっても寛容せず厳しく罰するという“ゼロ・トレランス方式(不寛容方式)“の実施で教え子が疑われ、その疑いを晴らすための行動だった。
しかしそこに映っていた人物からは猛反撃され、その息子もカーラのクラスの生徒だったので、犯人の追求はそっちのけで、カーラの“盗撮“行為が問題となる。
同僚との対立、保護者からの猛烈な批判、生徒たちからの反発で学校は崩壊寸前となり、カーラは孤立無援の窮地に陥る。
本作を手掛けたのはベルリン生まれのトルコ系であるイルケル・チャタク監督。
「本作の何もかもが自分の経験からきている」と語る監督。
先生が教室で叫んだり、盗みの疑いをかけられるのは移民の生徒だったり、自分の母国語を使うことを避けていたり。
カーラ先生もポーランド系で、孤立の根っこはその辺にもあるのかも。
カーラを演じたのは、ハネケの「白いリボン」では17歳で初々しい乳母役だったレオニー・ベネシュ。本作では正義感の強い生徒思いの教師を熱演。
社会の縮図ともいえる学校の在り方とは。
教師や保護者はどうすれば良かったのか。
あれこれ考えさせられた。
子供は親や周りの大人たちの言動に容易く影響され、しかも団結する。
かわいがっていた生徒たちによる、真っ直ぐな瞳の反撃は辛いなぁ。
「ありふれた〜」という邦題はどうしても、ベルギーの胸糞犯罪映画「ありふれた事件」を思い起こしてしまい、どんなに酷いことが起きるのかとドキドキして観ていたが、そんなに酷いことは起こらなかった。
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