グシケン

ありふれた教室のグシケンのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.7
行動に対する小さな思慮不足が思いもしなかった大きな問題に波及していく流れを巧みな脚本で描いた良作。序盤の授業で出た多角的な「証明」の話と1と0.99の僅差の話が皮肉の効いた壮大なラストの伏線となっていた。
改めて、学校という場所の教育の難しさ(特に外国では人種のるつぼ状態だからもっと大変)を痛感させられた。
最初に疑われたトルコ系移民の父親は、息子が窃盗したら脚を折ると言っていたが、家庭の教育方針は家庭内の問題なので、ある程度は自由にやればいいんだろうけど、教師は色んな家庭で育った子供たちを束ねて指導していかなければならない。その中で、問題が起きればその問題を解決することと生徒の未来やその家庭への配慮を両立する必要がある。そんなプレッシャーと忙殺される毎日の中で、一つ一つの行動や選択にもっと責任を持てというのは酷だと思う。
学校は民主主義を教える場だが、時代が変わってもある程度は権威主義的な場である必要があるのではないかと思う。
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