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ありふれた教室のkaoruiのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.0
一人の教師の正義感からのある行為をきっかけに歯車が狂い取り返しのつかない事態に発展していく過程をスリラータッチで描く。子供達にすら追い詰められながらそれでも授業を維持することを諦めず子供を守り抜こうとするレオニー・ベネシュが素晴らしい。

驚異的な音響設計だ。スタンダードサイズの切り詰められたフレームの外から雨の音や遠雷、椅子の軋む音や軽い咳払いがクリアな定位で聞こえてきて、見えない一人一人の位置が手に取るようである。これにドイツ語特有の言葉を刻みつけるような発声と相まって、緊迫感で画面がピンと張り詰める。
非常に解像度の高い録音で、僕も音に纏わる仕事をしているのだが、マイクを何本使っているのか、どこに置いてるのか、何を使ってるのか、変なところに気がいってしまうくらい素晴らしい音響だった。これは是非音の良い劇場でご覧ください。
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