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青春18×2 君へと続く道のodyssのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.3
【青春映画なら独自性を見つけなければ】

この映画、20歳前後であんまり映画をたくさん見ていない人には受けるだろうと思います。
それはそれでいい。
映画は、色々な年齢層や、映画鑑賞歴の多寡のある人たちを対象にしていますからね。
私も、20歳の頃にこの映画を見ていたら、深く感動したかも知れません。

でも、申し訳ないけど、映画をたくさん見るようになってから40年以上たつ前期高齢者である今の目で見ると、「うーん、イマイチかな」と思えてしまうんですよね。

台湾で、台湾人の男と日本人の女が出会って、一緒にバイクに乗るなどして愛情が芽生えていく過程は、悪くない。
18年後に台湾人の男が日本を訪れて、ローカル線に乗って周囲の景観に感動するのも、悪くない。

だから、そういう面では悪くないんですね、この映画は。
つまり、台湾や、日本の(赤字ローカル線が走っているような)田舎の景観を取り込んでいるという視点からすれば。

また、ここには岩井俊二の映画『Love Letter』もからんでくる。この映画は、韓国の映画作家にも影響を与えているようで、そういうことが改めて意識されるという点からも、貴重だと思う。

でも、です。この『青春18×2』が、どこか凡庸なのは、青春映画にありがちな或るパターンにはまっているからです。

私のような年寄りには、それが見えやすい。途中で分かっちゃうんですよね、展開が。

若い人がそういうパターンが見えなくて感動するのは、別段悪いことではありません。
それはそれでいいのです。

でも、年寄りとしては、青春映画として高度の作品にしようと思うなら、過去のパターンをたどるのではなく、別の工夫を考案すべきだったのでは、と思ったのでした。

すみません。
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