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青春18×2 君へと続く道のmkpackのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.5
【感想】
圧倒的な瑞々しさが、心の中心をしっかりと貫いてゆく。
語り継がれるべき、美しすぎる青春映画!

まずストーリー、脚本。

まず目を引くのは王道感たっぷりのストーリー。
ボーイミーツガール、ガールミーツボーイ。
この二つを掛け合わせて、研ぎ澄まして、純度の高い「青春」の雫を取り出していく。
予想のつく、既視感だらけの展開の中でしっかりスパイスの効かせ、結末の美しさに磨きをかける。
伏線回収の数も的確さも文句なし。
満足度の高さは生涯補償級の脚本でした。

次に演出だったり演技だったり。

まず一番に感じるのは監督、制作陣の映画に対する愛情の深さ。
様々な日本映画、台湾映画へのオマージュを織り込みながら、
どこか懐かしさを感じる台湾、台南市の情景を写し取っていく。

それだけでももう十分なのに。

主演の二人。
アミとジミー、清原果耶さんとシュー・グァンハンさんの演技が、
作り込まれた設定を演技で完全に越えていく。
一つ一つの台詞、ちょっとした目の動き、笑顔の意味。
本当に映画の中で生きていたかのよう。

さらには大人になったジミー。
そして出会っていく人々。

誰もが優しく、暖かい。

もっと露悪的なシーンを入れてバランスをとることもできたはずなのに、
あえてこだわった藤井監督の覚悟。
強いメッセージ性を感じることもできました。

さて。
いま、青春という言葉を口にすることなんてなかなかにない年齢になり。
振り返ると、いつあの日々が始まって、いったいいつ終わっていたのか。
あの瑞々しさは確かに自分にも存在していたはずで、無意識に枯れていて。

いったい何を探していたのか。
いつのまにか何を諦めてしまったのか。
持っていたのは何だったんだろうか。
棄ててしまったものはどこに行ってしまったのか。

そして、
今でも忘れていないこと、
達成できてないかもしれないかもしれないが、諦めていないこと。

そんなことを思い起こさせてくれる作品であったともいます。

遠く離れてしまった友人に、会いたくなりました。

素晴らしい映画体験でした。

【評価・つけるとすれば】
4.5です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
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