ポレポレ

白い巨塔 4Kデジタル修復版のポレポレのレビュー・感想・評価

白い巨塔 4Kデジタル修復版(1966年製作の映画)
5.0
NHK BSの『プレミアムシネマ』で鑑賞。

患者の容態や職業倫理よりカネや権力を重視し、医療技術より自派閥の発展を目指す。大学病院を舞台に医者の格好をしたクズどものパワーゲーム、開幕。

財前五郎役の田宮二郎を始め浪速大学医学部の面々や医学界関係者を演じた俳優たちの凄みたるや! 欲深で悪賢いパワーゲームの当事者として納得のキャスティング、よく揃えられたものだ。里見(田村高廣)が山陰大学への移転という名の左遷が決まった直後の、財前の目と口元に嘲笑が微かに表れる終盤の場面がたまらなかった。財前を煽る愛人ケイ子(小川眞由美)の妖艶さもいい。

やや慎重すぎるきらいがある里見、浪速大学医学部第一外科教授・東(東野英治郎)の娘 佐枝子(藤村志保)、同病理学教授・大河内(加藤嘉)……医学や医療について真面目な感覚を持っているのはこの3人程度だが、まっとうな人物がゼロだと息苦しくなるほど重厚な作品。山崎豊子の原作も読みたくなった。
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