WOWOW on demand鑑賞
【小津安二郎監督特集】
4Kデジタル修復版（2022年）
今回の6作品で一番観たかったやつ♪♪♪
小津安二郎では珍しい、
ノワール・サスペンス作品♪♪♪♪♪
これは面白かった〜♪♪♪
家族映画だけでは無い名匠の意外な一面を見た｡
小津安二郎監督が放った、まるでアメリカ映画のような傑作無声和製ギャング映画の新音声版。「連続ドラマＷ ＯＺＵ ～小津安二郎が描いた物語～」の１本としてリメイク。
英題 『Dragnet Girl』
1933年日本作品モノクロ・サイレント101分（4Kデジタル修復版2022年）
監督 小津安二郎
脚色 池田忠雄
原案 ゼームス槇（小津安二郎）
撮影 茂原英雄
撮影補助 木下正吉（木下恵介）厚田雄春
出演 田中絹代 岡譲二（＝岡譲司） 水久保澄子 三井秀夫（＝三井弘次）
竹下景子 声
中井貴一 声
（WOWOW番組内容より）
とある会社でタイピストとして働く時子（田中）｡一見おとなしそうな彼女だが、実は時子は二枚目ギャング・襄二（岡）の情婦で、彼女に言い寄るカモたちから金品を巻き上げるのを裏稼業にしていた。襄二は彼に憧れる不良学生の宏（三井）を子分に加えるが、弟思いの純情かれんな姉・和子（水久保）から、どうか宏を正道に戻してほしいと懇願される。襄二は和子にすっかり惚れ込むようになり、2人の仲を懸念する時子はピストル片手に和子を脅しに出向くのだが……。
（WOWOW解説より）
とかく日本的とみなされがちな小津監督が、実は大のアメリカ映画好きであったことがよく分かる、「その夜の妻」と双璧をなす彼の無声犯罪映画の傑作。
岡譲二がジェームズ・キャグニーばりのギャングをクールに演じる一方、なんとあの田中絹代が彼の情婦に扮してあっと驚く意外な演技を披露。水久保澄子の純情かれんな美女ぶりも要チェック。3人の男女が織り成す気になる恋の行方は、最後まで目が離せない。クレジット表記の原作のゼームス槙は、小津の変名。今回放送する新音声版の声の出演は、中井貴一と竹下景子。
アメリカ映画に影響を受けた小津監督による和製ギャング映画で、岡譲二が暗黒街の男、田中絹代がその情婦を演じたクライム・サスペンス作品｡
東京国立近代美術館フィルムセンターが119分尺および120分尺の35mmフィルム、120分尺の16mmフィルムの3種類の上映用ポジプリントを所蔵している｡
2003年（平成15年）12月25日に、松竹が発売した『小津安二郎 DVD-BOX 第四集』に収録された｡（Wikipediaより）
意外にスタイリッシュな映像♪
余分なものを排除し、ところどころに監督のこだわり、美意識が感じられる｡
そして小物の使い方や、撮影スタイルも“小津調”と呼ばれる拘りが見えて面白い‼️
・アメリカ映画が大好きな小津監督の趣味が爆発したギャング映画♪♪♪
だがフランス映画のノワール作品の雰囲気もある｡
・主人公二人、時子に田中絹代、襄二に岡譲二｡
田中絹代は美人では無いがファニー系でやっぱり演技が凄い｡
情婦（ズベ公）と三流ヤクザ（与太者）カップルのクライム感｡
・和子（水久保澄子）が清楚な美しさ｡
和子の弟・宏役に三井秀夫｡ナイナイの岡村隆史に似てる〜
・終盤登場する若い警察官に、笠智衆⁈
若すぎて最初判らず‼️
↓ 以下ネタバレ含む
【印象のシーン】
・ボクシングジムで揺れる複数の輪っかのロープ
の効果的なショット
この後、何回も出てくる｡
・”ブレイク” の一声でジムから退散
・ジャズクラブでケンカ
そのシーンを一切見せないスマートさ｡
・部屋のローアングル
・通りの店の中から外側の主人公たちを
映すショット
・宏の姉・和子が勤め先レコード店
Victorの犬のマスコット、大小さまざま
・プールバーでのケンカ
映画？のポスター
・プールバーでの時子のミスショット
・Victorの犬のステッカーのガラス越しに
会話する穣二と和子
・会社へタレコミ電話
”あの… 壊れ物ですし、
なるべくお静かにお扱い
下さいますよう、お願い致しますわ“
・部屋のサンドバッグを肘で突いてから、
取り出す拳銃
・情婦と姉の対峙、取り出す拳銃⁈
“馬鹿ネェ、あたし…
あたし、憎いけど
あんたが好きになっちゃった…”
・毛糸を巻き直す
今では滅多に見ないシーン⁈
・修羅場の後
・バー
カクテルグラスを落として割ってしまう穣二
”払おうじゃねえか
いくらだ、じゃ十ばかり出してくれ“
・ “どう？ 妬ける？
妬きなさい 妬きなさい”
・ ”俺の意地だけは通さしてくれ“
・鮮やかな最後の一仕事
手際は、
”ボニーとクライド“♪♪♪
・車のライトの後ろ側に写る景色の流れ
・通る街並みの風景
工場に英語の文字
・和子と宏の家に貼られている映画ポスター
『西部戦線異常なし』（1930）
・ ”弟思いのいい姉さんだ、
大事にしろよ!”
・ネオンの点滅が部屋に反射する
“クラブ 歯磨“ ???
・ “2、3年は別れ別れだ!
飛びついて来い‼️”
・何だかのんびりした警官たち⁇
【小物を効果的に使用】
・蓄音機
・レトロな電話
・ボクシングジムの天井から下がるロープ
・Victorの犬
・ビリヤード
・拳銃（中折れ式リボルバー）
・アクセサリー
・コーヒーポット
・毛糸の玉
新録の劇伴もフランス映画っぽい｡
家族ドラマだけでは無い、小津安二郎作品の名作｡これは観て良かった〜〜🎵
【忘備録】ネタバレあり
（キャスト）
・時子：田中絹代
・襄二：岡譲二
・和子：水久保澄子
・和子の弟・宏：三井秀夫
・みさ子：逢初夢子
・仙公：高山義郎
・三沢：加賀晃二
・社長の息子・岡崎実：南條康雄
・社長の息子の秘書：谷麗光
・ボクシングジムのボス：竹村信夫
・ダンスホールの与太者：鹿島俊作
・巡査：西村青児
・警官：笠智衆（ノンクレジット）
・特別応援：帝国拳闘会、フロリダダンスホール
【修復版詳細】
『非常線の女』
4Kデジタル修復版/2022年
小津安二郎監督 1933年
製作 松竹株式会社
画調監修 近藤眞史
製作 株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
製作協力 株式会社松竹映像センター
現版提供・技術監修 国立映画アーカイブ
特別協力 独立行政法人国際交流基金
『非常線の女』［4Kデジタル修復版］は、35mm可燃性オリジナルネガに由来する国立映画アーカイブ所蔵の35mmプリントを元素材として、2022年にデジタル修復を行なったものである｡
2023年版
プロデューサー 藤井宏美 橋本佳子
映像技術 藤井遼介
整音 桑木知二
選曲効果 泉清二
演出 加賀谷慧
2003年版
製作 松本行央
プロデューサー 橋本茂 藤田章 西山聡
整音 桑木知二
選曲効果 泉清二
演出 毛利匡
音楽資料協力
菅野公子 ジネット・ヌヴー協会ジャポン
製作進行 小田島香苗
協力
鎌倉文学館 川喜多記念映画文化財団 ムービーテレビジョン
製作協力 ドキュメンタリージャパン
監修 田中康義
製作著作 松竹株式会社
【作品解説（Wikipediaより）】
・山本喜久男の指摘によれば、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の『暗黒街』（1927年）や『非常線』（1928年）の影響が濃厚であり、本作に先行する『朗かに歩め』と『その夜の妻』（1930年）が、小津における暗黒街ものであるという｡
筈見恒夫は本作にウィリアム・A・ウェルマン監督の『暗黒街の女』（1928年）からの影響を指摘し、「小市民作家」のエネルギーを浪費しているといい、本作への失望を表明している｡
