ナツミオ

大人の見る繪本 生れてはみたけれど 4Kデジタル修復版のナツミオのレビュー・感想・評価

4.2
WOWOW on demand鑑賞
【小津安二郎監督特集】
4Kデジタルリマスター2023年版

 “子供が経験する人生の縮図“

初鑑賞。
WOWOW小津特集の最後の6本目。
子供心に経験する人生の縮図。
微笑みながらも、時にはドキッとする子供目線の序列・格差社会。

子どもたちの目を通して序列社会を描いた、小津安二郎監督初期の傑作無声喜劇の新音声版。「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」の1本としてリメイク。

英題 『I Was Born, But...』

1932年日本作品モノクロ・サイレント92分(4Kデジタルリマスター版2023年)
監督 小津安二郎
脚本 伏見晁
原作 ゼェームス・槇(小津安二郎)
撮影 茂原英雄
出演 斎藤達雄 吉川満子 坂本武 菅原秀雄 突貫小僧(=青木富夫)
風間杜夫 声
倍賞千恵子 声

(WOWOW番組内容より)
小学生の息子兄弟、妻とともに、一家で東京の郊外に引っ越してきたサラリーマンの吉井。早速彼は近くに住む会社の専務宅へご機嫌取りのあいさつに出向く一方、息子兄弟は近所のガキ大将たちと子ども同士で覇権争いを繰り広げ、どこのうちの父ちゃんが一番偉いか言い争う。
そんなある日、専務の家でホームムービーの上映会が催され、上司のごますりでおどけたピエロ役に徹する父親の姿を目の当たりにした兄弟は、思わず愕然とする……。

(WOWOW解説より)
東京の郊外に引っ越してきたばかりのサラリーマン一家の日常を、やんちゃな息子兄弟の視線を通じて皮肉とユーモアたっぷりに見つめ、そこに浮き彫りとなる序列社会の仕組みを痛切に描写。
上司のご機嫌取りに走るしがないサラリーマンの悲哀を、斎藤達雄が絶妙の味で好演する一方、子役の突貫小僧も愉快な演技を存分に披露。名匠・小津監督の初期を代表する傑作サイレント映画に仕上がった。なお、クレジット表記の原作のゼェームス槙は、小津の変名。
今回放送する新音声版の声の出演は、風間杜夫と倍賞千恵子。

本作は1930年代にサラリーマン階級の日常や庶民感情を描いて流行した小市民映画の代表作であり、サイレント期に小津の評価を決定づけた作品でもある

小津監督のサイレント期を代表する傑作で、サラリーマン社会の悲哀を子供の視点から描いた喜劇映画である。
小津作品の特徴であるフェードイン・アウトを使わずに固定したカットでつなぐ場面展開はこの作品によって決定付けられた。
第9回キネマ旬報ベスト・テン第1位。
(Wikipediaより)

面白かった〜
この時代の子供たちの覇権争い。
ガキ大将との対決、徐々に仲良くなる仲間たち。
戦前の日本の風景も見られて楽しめた。

子供たちの中で、

 “誰の父親が1番偉いか?"

という覇権争いを通じて、幼い兄弟が人生の縮図を知り、怒り、反抗することで成長するコメディ作品。

終始、ほのぼのした劇伴は近年の音入れだろうが、現代の名優のナレーション(風間杜夫、倍賞千恵子)も心地よく、映像も4Kデジタルリマスター版なのでびっくりするくらいクリアーな映像で傑作を堪能した♪♪♪

作品からは、まだ戦争の影は見られないが、この後、軍国主義の足跡はすぐそこまで迫っている。

戦前のサラリーマン家庭が郊外に引っ越す。
周りは高い建物や民家も少なく原っぱの様な景色だが、電車は頻繁に通過するが一両編成。面白い景色。
後で調べると、池上線(当時・池上電気鉄道、現・東急)だそう⁈
開業は1922年だがこの頃、大田区は東京の郊外だったの⁇
ビックリ‼️

追記
戦争の影は少しだけありましたネ⁈
父親が子供たちに将来の夢を聞くシーン

弟は、軍隊の中将。
何故、上の大将じゃないのか尋ねると…
“兄ちゃんが、大将だから取るな”
という、微笑ましいのか、戦争の影が見えて、やはり、というべきか…



【忘備録】ネタバレなし
(スタッフ)
監督:小津安二郎
原作:ゼェームス・槇(小津安二郎)
脚色:伏見晁
美術監督:河野鷹思
潤色:燻屋鯨兵衛(小津安二郎)
撮影・編集:茂原英雄
撮影補助:厚田雄春
舞台装置:角田竹次郎 木村芳郎
字幕撮影:日向清光

(キャスト)
父親吉井健之介:斎藤達雄
母親英子:吉川満子
長男良一:菅原秀雄
次男啓二:突貫小僧
重役岩崎壮平:阪本武
その夫人:早見照代
その坊ちゃん太郎:加藤清一
酒屋の小僧新公:小藤田正一
悪童亀吉:飯島善太郎
伊藤先生:西村青児
遊び仲間:藤松正太郎、葉山正雄
映写機を回す部下:笠智衆(ノンクレジット)

【ランキング】
・1959年:「日本映画60年を代表する最高作品ベストテン」(キネマ旬報発表)
第3位

・1979年:「日本映画史上ベスト・テン」(キネマ旬報発表)
第17位

・1989年:「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)
第31位(サイレント映画としてトップ)

・1995年:「日本映画 オールタイムベストテン」(キネマ旬報発表)第52位

・2009年:「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」(キネマ旬報発表)
第59位
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