似太郎

清作の妻の似太郎のネタバレレビュー・内容・結末

清作の妻(1965年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

【自我の絶対化】

本作は私が16歳のとき、ユーロスペースで初めて観た増村保造作品だ。思った以上にB級映画的な雰囲気が強い。主演の若尾文子の怨念に満ちた眼差しが屈強で、鬼気迫るものがある。

驚愕の反戦映画であり倒錯映画。かつての増村作品にあったバブリーで能天気な雰囲気は失せ貧乏臭い今村昌平映画のようになってしまった。

戦時下の閉鎖された村でのドロドロ愛憎劇。ラストで戦争へ向かう夫の両眼を針で串刺しにする若尾文子の異常行動が【女の執念】を感じさせて格好良いじゃないですか!。強烈な自我=エゴを突き通すという増村の作家性がよく現れている。

邦画史上に残る「大怪作」とはまさにコレ。暴力的なまでに美しい寓話だ。🤔
似太郎

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