アリー

水平線のアリーのレビュー・感想・評価

水平線(2023年製作の映画)
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2024年3月3日テアトル新宿
5年前くらいに父の海洋散骨をした。
事情は割愛するが、住んでいた地域の海に撒くことにして業者を選び、業者と一緒に、磁石での金属除去、粉骨化、水溶性のパックづくりもやって、家族でクルーザーに乗ってそのパックを撒いた。
骨にはお棺の釘が混ざっているのでそれを最初に除去する。また粉状にしないで撒くことは禁止されているので食品加工の機械で粉にする。さらに海上は風が強く、粉を撒けないので、水溶性のパックに入れてそれを投げ入れる。この映画、このへんの解説が全然なかったけれど、見ている人はわかったのかな?

というわけで、散骨に関しては経験者で興味もあるので、映画に関しても興味を持って見ることができた。
じゃあ映画はどうだったのかというと、うーん。何とも言えない。
いろんなことを考えさせる仕組みにはなっているのだが、それがすんなり入ってこない。ちょっと詰め込みすぎているのかなー。

ストーリーとは関係ないのだけれど、個人的には「骨」に対する思い入れが少ないせいで、「素晴らしい映画」と言えないのかもしれない。
死んでしまったら、いい奴の骨も悪い奴の骨も一緒のような気がする。だからジャーナリストが連れてきた女性の言っている意味が理解できないし、漁協で主人公が怒られるシーンも理解できない。主人公が「トイレに流しても海にたどり着く」と言うが、そーだよなーと思ってしまった。
自分は父の骨を海に撒いたので、命日には海に行きたくなるのかなーと思ったら全然そんなことはなくて、遺影を拝む程度である。

と、ここまで書いてみると遺骨について考えるよい映画とも言えるか。

ピエール瀧はかっこいいけれど、もうちょっとおちゃらけたシーンが多くてもよかったと思った。円井わんはMondays/このタイムループ…が記憶に残っていたいて、あれも良かったけれど、これもナイス。
足立智充は先週「王国」を見たばかりだが、ここにも登場。嫌な奴の感じが十二分に出ていた。
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