古今香港KingKong

ケト・サピエンスは牧草牛の夢を見るか?の古今香港KingKongのレビュー・感想・評価

4.0
高城剛さんが製作総指揮・撮影の作品ということで映画館に観に行きましたが、想像していた以上に面白い、良質なドキュメンタリーでした。
高城さんのメルマガ読者やファンの方だけに限らず、食に関心のあるすべての方にぜひ見ていただきたい作品です。

牧草で育てる和牛の生産という夢を追い求めるドクター斉藤と一緒に、多くの産地に生産者さんたちを訪ねている気分になるような構成で、最後まで飽きさせません。

日本で暮らしていても、多くの人が知らない和牛にまつわる問題について考えさせられます。と言っても、シリアス一辺倒やお勉強のような重い感じではなく、未来をより良いものにしようと挑戦する人たちを軽やかに応援するようなトーンも感じました。

ドクター斉藤と和牛の生産者さんたちの対話では、それぞれの想いや、受け継がれてきた歴史や知恵などを感じると同時に、やり取りやリアクションに味のある方もいて、脚本のない作品ながらも、リアルな会話劇を見ているような場面もあって、その意外さも楽しめました。

和牛産地を訪ねる中で、知らなかったような雄大で美しい日本の風景を見ることができるのもこの作品を映画館で観る魅力になっていました。
牛たちの姿もいきいきと描かれ、大きなスクリーンで見ると強い生命力を感じました。普段の生活で薄れがちな、食事はいのちをいただいているんだ、ということをあらためて強く感じさせられました。
また、サウンドにもこだわっていると感じられ、映画館の音響により、臨場感のある体験を支える立役者になっていました。

今後のSaito Farmの挑戦の続きと、NEXTRAVELER FILMSの次回作にもより期待が高まりました。
古今香港KingKong

古今香港KingKong