ガンギマリポテト

スリ・アシィのガンギマリポテトのレビュー・感想・評価

スリ・アシィ(2022年製作の映画)
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ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース(BCU)第二弾、やっと観に行けた。

第一弾のグンダラ、別の出版社ユニバースのヴァレンタインと、インドネシア産ヒーロー映画は今作含めて三作品観てきたけど、どれも例外なく異常に密度が低い。
作劇の拙さのせいだとも思ってたけど、全部に共通してたのが、民主主義や社会公正論ではなく“機能不全な国家”を前提としていること(劇中、悪役がはっきりと台詞で「政府は無能だ」「計画がない」と言い切ったり)。だからヒーローが何をしても全く手応えを感じることが出来ない。政治的疎外感が全てのスタートになっていて、そこから掘り下げることすら出来ない。

インドネシア・アクションが好きな映画ファンなんかがよく「インドネシアは修羅の国」って冗談半分で言うけど、これは“ヒーロー”という冗談が通じないぐらい深刻な話なのではないか(当然ながら、日本を含めた東南アジア諸国への植民地支配を実行していた国々は他人事では済まない)、トンチキ映画と割り切って楽しむことすら出来ない居心地の悪さもそういうことかな、なんて思ってしまった。

ポストクレジットはグンダラのカットの使い回しだし、ポスト・ポストクレジットに出てきたカッちょ良いヴァージョン・アップ・スーツもなかったし。なんなんだ。
まぁでもBCU第三弾が出てきたら観に行きますよ、ハイ。

しかし『キャプテン・マーベル』の真逆を全力疾走するような「ザ・トーンポリシング!」って感じの主人公のドラマの落とし所は全くもってノレない。
”ヴォート社インドネシア支社が作った映画“って感じ。