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しあわせのかおりのTYのレビュー・感想・評価

しあわせのかおり(2008年製作の映画)
3.4
私は町のきったない中華料理屋が好きである。
床はヌルヌルでも一切問題ない。
席に着くやいなやオバちゃんがお冷とおしぼりを持ってきてくれる店がいい。
床はヌルヌルでもいいがおしぼりが臭いのはいただけない。これに気付かず顔を拭いてしまうことが何度もあるが、これはいただけない。
お冷のグラスはビールメーカーのロゴが入ったものでいい。小さな傷が沢山あってもいい。しかし、ごくまれに口をつける部分に汚れがあるものがある。これもいただけない。
私はすぐにオバちゃんにオーダーを言う。「餃子とビンビール。」と。オバちゃんの返事は「はいよ」でいい。ビールはキリンラガーだと嬉しい。エビス黒ラベルでも嬉しい。アサヒスーパードライでもまぁいい。プレモル、、、個人的にこれはハズレである。
店によって、ビールは料理と一緒に出した方がいいかと聞いてくれる。この心遣いが嬉しい。
ビールと一緒におつまみとしてもやしを出してくれる店があった。ナムルではない。ただの茹でたもやしである。これはいらない。
餃子を酢と胡椒だけで食べる人が近年増えてきた気がする。私も試してみたが結局は酢醤油にラー油多め、これが一番である。餃子が提供される頃には最初に頼んだビールはもう飲み切るころである。提供と同時に追加のビールを注文する。
餃子はニンニクがしっかり効いたものがいい。野菜たっぷりヘルシー餃子ニンニクなし、などといった女子向けと思われるものがあるが町中華にこんなものはいらない。ガツンと聞いたニンニクをビールで胃袋に流し込むのだ。
ここでようやくメニューをみる。メニュー表は無くていい。壁に貼っているお品書きを見ればいい。黄ばんだ紙や、破れかけた紙も味があっていい。
私は次の料理の選択に悩むことが多い。複数人で訪れた場合はいいのだが、一人の際はこれが最後の一品になるのだ。
鶏のから揚げを食べたいが一人で食べるにはボリュームがありすぎる。麻婆豆腐も同じく。酸辣湯麺も捨てがたいが、ビールのあてにはならない。優柔不断な一面を発揮してしまう。・・・決めた。これしかない。「あと、かた焼きそば!」「あいよ。」
若いころはバリバリに揚げた揚げそばを好んで食べたが、年齢とともに油がきつくなってきた。最近は揚げ焼き程度の麺が好みである。
かた焼きそばが提供される頃には正直ビールで腹いっぱいである。炭水化物をオーダーしたことを少し後悔さえする。

この映画はそんな愛される町中華の話である。
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