【エンディング】
この「罪と悪」が公開された週末は、秀逸なリバイバル作品の上映もあって、ちょっと押され気味感はあったれけども、最近の邦画のサスペンスの中では人物像など含めて良く練られていると思うし、僕はかなり好きな作品だった。
ただ、良い作品だからこそ、逆にちょっと言わせてもらいたいところがあった。
(以下ネタバレ)
少年時代に起こった事件をきっかけに大きく狂ってしまう人生。
希望を叶えても友人の犠牲の上に成り立っているという、決して消えない生きづらい気持ち。
朔の少年時代のあの場面、作品を通してとても異様に感じたあの行動の理由が、エンディングで怒涛のように一気に明らかになるのだが、そこには整合性も与えられていて良く練られているように思う。
ただ、一点、もともとのボロ小屋の住民に違和感がどうしても残ってしまう。
もっと必然を感じさせる登場人物像や、それに符合するような出来事が他になかったのか。
エンディングの場面は、観る人それぞれが考えるところじゃないのか。
僕は、突発的で衝動的な行動によって人生が180度も変わってしまったことを考えたら、あのようにしてやりたいという怒りの気持ちは理解できるように思う。
見過ごせない”罪と悪”そして、2度と会うことはないという言葉の意味も。
ただ、それを押し殺して前だけを見て進もうという人も絶対いるはずだ。
考えるきっかけを、自分の気持ちを深掘りし、そして、想像力を発揮するきっかけを与えようとしているのだ。