ウマ介

あんのことのウマ介のレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
4.3
絶望と希望、人々が持つ善と悪。

重くのしかかるようなテーマで、客観的に映像作品を見ているというより、主人公にふりかかる不条理さを擬似体験させられるような感覚になる。特に母親の出てくるシーンでは常に恐怖や緊張感があった。本作では、もう過去の出来事となった「コロナ禍」について描かれるが、コロナが多くの喪失を生み出したことを再認識させられ、ここで描かれていることは紛れもない現実で起こった出来事であると突きつけられる。
本作において誰が悪、誰が善という明確な二極化はない。例え犯罪者でも手を差し伸べてもらえた側からするとヒーローのように見える。グレーな部分を描きつつ、社会から、世間から目を背けられた人たちにフォーカスする本作は是非とも観て、感じて、そして考えるべき映画だと言える。

大注目女優河合優実さんはもちろん、近年演技力を爆発中の佐藤二郎と稲垣吾郎、この2人が本当にすごい。
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