すみれ

あんのことのすみれのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
4.0
ヌワー!やはり邦画の鬱は感情の機微が伝わるから鑑賞後の精神ダメージが大きいです。とはいえ予告から身構えて観に行ったからか、個人的には受け止められる辛さでした。
佐藤二郎が私の知ってる佐藤二郎の味のまま生身のキャラクターとして動いてて満足です。
本編については色々感想はありますが、こういう事もあるよね、自分はそうでなかったけど、忘れてはいけないな、という程度に心に留め置くとしました。

話は変わります。
帰りの電車で思った事メモ。

鬱映画にも幅があるなと思いました。今まで戦争映画はそれなりに観てきたのに、邦画の社会問題系を避ける傾向がありました。その理由をこの作品を観て改めて実感しました。
表情変化や言葉選びや置かれている環境から、共感できたり過去の体験を思い出したりできるくらい、身近で生々しくて苦しいから。
邦画ホラーを避けてきた心理に近いかも。非日常モンスターパニックはジェットコースター感覚で観れるけど、自宅や布団の中までひたひたと侵されていく日常侵食ホラーはマジ無理。
同様に、異国のドキュメンタリーやフィクションと分かっているスリラーミステリーなどは、対岸の火事として客観的に観れるし考察も楽しめるのだけれど、現代日本で当事者意識を感じる話題だと主観的に観てしまいます。もちろんそう思わせるのが狙いだろうけど、目を向けるには勇気とか段階が必要で…今まで避けてきたのは自分に余裕が無かったのもあるのでしょう。認識を改めたこの機に、少しづつ鑑賞数を増やしていけたらなぁとも思うのでした。

また話は変わるけど、現代の世界もやっぱり終末世界だから、マッドマックスのクリヘム(ディメンタス)くらい強く図太く生き汚くありたいと思いました。二本立てしたら感情が中和されました。
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