M少佐

ライラの冒険 黄金の羅針盤のM少佐のレビュー・感想・評価

1.0
 「毒のコートで焼け死ぬのよ!」

イギリスに似た異世界。
その世界では魂は人間の中にはなくデイモンと呼ばれる動物の姿となって人に寄り添う。
子供のうちは動物は不定形で大人になると固定化する。
更に、この世界は異世界の存在を確認しており、それには「ダスト」なる粒子が関係しているらしく研究者もいるが、ある目的を持ったカルトに妨害されている。
そんな中、強気な女の子「ライラ」の周りの子供達が何人も拐われる事件が頻繁に起きる。
原因はカルトらしい。
拐われた友を助ける為にライラの冒険が始まった。

こんなに酷い大作は久々に見た気がする。
役者は説明不要の豪華過ぎる俳優陣。
個人的に好きな世界観と設定。
スチームパンクを思わせる様々なギミック。
可愛らしい動物達。

…なのに全く面白くない。

作品内では素敵人物として誉めそやされる主役ライラが、ただの生意気な小娘にしか見えない。
悪の組織が魅力もなく、本当に安っぽいカルト程度の行動原理。
ストーリーに余裕がなく、駆け足で場面が進み作品全体の主題がボヤけて見えてしまう。
ニコール・キッドマンの美しさ、エヴァ・グリーンの妖艶な魔女、動物達…良いところもあるが、それらが無駄になるほど全体的なインパクトは薄い。
他のファンタジー作品の影響もあるだろうが人が死にすぎる。
一番ダメに思ったのは、絶対に殺してはいけない者を殺してしまったこと。
そのシーンは無いが台詞を疑った。

北米カソリック教会の妨害工作やデモにより(教会も認める確信犯)興業成績が振るわなかったのは気の毒とは思う。
しかも無神論者を生産しかねないと見当違いの難癖をつけてのデモだった。
だが出来が悪すぎては続編製作が難航して頓挫したのも頷ける。

結局、羅針盤の真実は謎のままである。
       - 完-
M少佐

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