このレビューはネタバレを含みます
原作ファン。
前作映画も履修済み。
BLと銘打っているのでもちろんボーイズラブなわけですが、広くいえば、バンド少年たちの将来への迷いと覚悟、恋のお話。
恋のメインは真冬の幼馴染・柊と玄純。
そして、亡くなってもなお存在の大きい真冬の元カレ・由紀という少年について。
この4人の幼馴染の関係はなんだか歪で、互いにわかり合っているような、わかり合っていないような。そんな感覚を受けました。
柊にとって、由紀と真冬は聖域だった。
触れられない世界にいた。
それを見ていることしかできなかった。
でも隣には、ずっと玄純がいてくれた。
それに気付けた柊に、思わず「よかったねぇ」と声をかけたくなりました。
目の前の玄純を大切に思っていたことに、由紀を失ってから気づいてもいいじゃないかと、柊は思ったのかもしれない。
たしかに柊はさみしかったのでしょう。
一緒に始めたバンドでメンバーが突然いなくなったこと、憧れと羨望が混ざった聖域がなくなってしまったこと。
もしかしたらその憧れは星になり、自らを輝かせる一因になったのかもしれません。
立夏同様、華のある柊はいつだって音楽に全力で立ち向かっています。
そんな柊の傍には従順に、執着と粘着を持って玄純がいる。
このふたりが、なんとも無敵に思いました。
柊は由紀が完成させていなかったデモテープの依頼を立夏に託します。
恋人である真冬の元カレの製作物を見聞きするのは苦しかったことでしょう。
劇中の言葉を借りるなら、まさに「地獄」。
それでも立夏がやり遂げたのは、"音楽"が好きだから。
向き合って、向き合って、由紀のことは知らずとも、柊たちを応援したい一心と、やがてくるファーストライブのお披露目のためでしょう。
立夏は柊たちのサポートでもがき、真冬はひとりで自問自答し、秋彦と春樹は「バンドと恋人で心中だ」と笑います。
givenでデビューしたい。
だって、自分たちの"音楽"があるから。
現状、舞台に一番近い立夏。
真冬を引っ張り上げられるのかどうかは原作で既に描写済みですが、今後の映画がどう展開されるか楽しみです。
将来へのもがき。憧れ。地団駄。
過去への後悔と発見、新たな気付き。
劇中の少年たちは皆、前に進もうとしています。