うるる

ディア・ファミリーのうるるのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ファミリー(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

予告を観た時点から「これは泣かせにくる映画だな」と思ってはいたが、想像以上にくるものがあり、気づけばボロボロと泣いていた。
常に涙腺が壊れていたように思う。

とにかく、大泉洋さん演じる筒井家のお父さんが「あきらめない」。

誰に何を言われても、聞かれても、責められても、怒られても、罵られても、難病を持つ娘・佳美のために「あきらめない」。

この「あきらめない」姿こそ筒井家の支柱であり、愛、絆、命だと、感じる映画である。
ただ本当は、そんな陳腐な言葉では現せられないほどの、限りない実話である。

父は知識が無いにも関わらず、娘のために人工心臓を作ろうと決め、あちらこちらへと奔走。
下げられる頭がどんなにあっても、皆「無理だ」と言うばかり。

そんななか東京の大学で医師の研究生たちと出会うが、そこでもまた見えないチカラに阻まれてしまう。

それでも、筒井家は「あきらめない」。

10年を何もせずに過ごすか、1歩でも多く前に進むか。
10年という月日に、映画を観ていてくらっとした。
私のこの10年は、きちんと胸を張れてるだろうかと…。

途中、何をしても人工心臓で娘が助からないことに直面する。
泣いても泣いても、受け入れられない娘の苦しみ。姉妹を失うつらさ。
登場人物たちが泣くたび、こちらも涙を誘われた。

佳美は言う。
「私の命はもう大丈夫だから、その知識を苦しんでいる人のために使って」と。

その言葉に、どれだけの決意があったのか。
どれだけの勇気があったのか。
どれほどの愛を持っていたのか。

自分が佳美さんの立場になったとき、同じことを果たして言えるだろうか。

そして父は佳美さんとの新しい約束として、「バルーンカテーテル」の実用化を目指す。

ここからも、「あきらめない」。
ずっとずっと、「あきらめない」姿がスクリーン上に進んでいく。

名古屋の小さな町工場の父が身につけた医学の知識が新しい発見となり、周囲に良き歯車が動きだす。

医師を演じ、味方にもなってくれる松村北斗、満島真之介がそれぞれ演じるキャラクターがとてもよく、実際の筒井さんにとっても心の支えになったことだろう。

松村北斗の、はじめは気怠いところから、カテーテル研究でゆくゆく目が輝く表情、無力な自分に憤り車中で悔しがる様子がとてもよかった。

子役さんたちも含め、どのキャラクターたちも適材適所良く、上映時間があっという間だった。
私の涙は枯れ、目は痛くなったいた。

この映画を観て、【家族を大切にしよう】、【家族に会いたい】。
【命を大切にしよう】と思う人もいるだろう。
そのようなメッセージが、含まれていると思う。





唯一の懸念点とするならば、あまりにも強い【家族愛】。

家族に良い思い出がない視聴者、父親に不信がある方は、きっと複雑だろう。

果たして自分の父親なら、同じことをしてくれるだろうか?



筒井家は最高にしあわせな家族だろうと、帰り道、ひしひしと感じた。
うるる

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