みむさん

戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版のみむさんのレビュー・感想・評価

5.0
ポーランド映画祭にて。

4Kリマスター版上映だったので15年ぶりぐらいに観た。かなり綺麗な映像になっていた。
エイドリアン・ブロディが20年ぐらい前からほとんど変わってないことにまず驚く。
そして記憶していたより相当凄惨だった。こんなに死体描写ガッツリたくさんあったんだなと。

ユダヤ人の有名ピアニストが家族と引き離されてしまい、一人で占領下のワルシャワをサバイバルする話。
ホロコーストを生き抜いたポランスキー監督自身の体験とも被る部分が多いようだ。

芸術が身を助ける、音楽に人種や国籍は関係ない。残酷で辛いばかりの映画だが、あのシーンだけは立場を超えた人間同士の共鳴という感じでやっぱり胸が熱くなり苦しくなり涙が出る。

主人公シュピルマンがあの状況の中でもずっとピアニストであることを捨てない。どんなにうちひしがれても、生死をさまよっても最後まで捨てなかった。
ショパンの故郷でショパンを弾くシュピルマンが神々しかった。

ドイツ兵は出てくるがヒトラーは出てこない。
ナチスの悪行は当然描かれるが、シュピルマンの手記をもとに彼が目にしたこと体験したことが描かれるので、ユダヤ人にもポーランド人にもドイツ人にもいい人と悪い人がいる。
ユダヤ警察のことは記憶から欠落していた。生きるために協力した人はいたと認識していたがこんなにナチス寄りだったのかと驚く。

シュピルマンがこの体験の中で唯一目にした歴史上人物はアンジェイ・ワイダの映画で描かれたコルチャック先生だそうだ。
あと、ゲットーに隔離されたり出たら出たで生きるのに必死でカティンの森事件についても当時知らなかったそうだ。

エイドリアン・ブロディは元々細身だが役のために減量、痩せた状態から撮り始め通常の状態で終わる撮影プロセス(映画の時系列とは逆順)だったらしい。