EDDIE

パーマネント・バケーションのEDDIEのレビュー・感想・評価

3.6
ジャームッシュの作家性を物語る彼のすべてが詰まったデビュー作。
“孤独”な男は街を彷徨いアテもない旅に出る。ラストは主人公のさらなる“はじまり”を感じさせるジャームッシュの物語であり、我々の物語だ。

ジム・ジャームッシュ監督のデビュー作にして、彼のニューヨーク大学映画学科の卒業制作。12,000ドルの低予算ながら、卓越された役者の配置、撮影と作品の質に関しては間違いなく良いといえます。

こんな作品を大学の卒業制作で作ったのかと驚きが隠せません。

主人公のクリス・パーカーはまさにジャームッシュ自身。ニューヨークの街を漂い、そして単身パリへと向かう。彼クリス自身の行方はジャームッシュの辿った道と同様です。

まぁこれを日本人に置き換えて観ると、なんだか寒いセリフばかり放つ中二病かぶれの主人公という見方もできるけど、そう思わせないのがアメリカ人のズルさですよね(褒めてます)。
絶対日本語吹き替えとかで観ることができたら、あまりにも恥ずかしくて目も当てられなかったかもしれません。

ただ日常をドラマチックにでもなく、淡々と描く。だけど、そこには映像としての美しさが相まって魅了させられます。

特別な何かがあるわけでもなく、心の盛り上がりとしてはこのスコアに落ち着きましたが、『パターソン』が好きな自分にとってはジャームッシュの原点を感じられたことが一番の価値だと感じました。

※2021年自宅鑑賞19本目
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